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追想、追記
思い出そうとしていました。 最初に言葉を伝えてくれた人の事を。 最初に言葉に心をのせて伝えた人の事を。 それから言葉は どこに向かっていったのかを。 思い出そうとしていました。 空が青かった事や 雲が巡礼の旅人の様にゆっくりと流れて行った事を。 もう直ぐ季節が変わる直前の 風向きの揺らぎ、寂しさ。 微かな緊張感と、その先の人々の道筋。 絶望、希望、それが人々の魂を 僕の知らない形に変えてしまう事を。 思い出そうとしていました。 信じ続けていた物の事を。 信じようとしていた物の事を。 信じられる様な気がした時の事を。 ひたすらに信じたかった時の事を。 遠い昔、あなたが僕に向けた眼差し。 朧気で、曖昧な断片を繋ぎ合わせようとして 壊してしまった瞬間。 僕が今まで手にした数々の物。 道端に吐き捨てられた呪文の数々。 誰が創ったのかも分からないでかき集めたガラクタや、破片。 それらが何か役に立ったか? それらを集めて、 僕は何から自分を守ろうとしていたのでしょうか? 何も手に入らず、何も見えず。 何も聞こえず。 どこまでが赤くて、どこからが青で どこからが夜明けで、どこまでが日没か 区別がつかないまま、日々を費やした事を。 何故人は泣くのか?何故笑うのか? 理由も分からず あなたが泣くこと 誰かがが笑うことを ひたすら恐れ続け 何もかも無くしてしまった瞬間。 昨日僕は、幻影と話をしていました。 幻影が僕を笑うので 僕は幻影を切り捨てました。 気が付いたら、幻影は消えていて 僕は血まみれで、そこに虫がたかり始めていました。 人々は僕を避けて通り 僕は誰とも目を合わせない様にしました。 時々、空の色を思い出します。 草花が蒼々と繁り、静かで 地上のすべてが彩やかに色づいていたあの日の 空の色を。
追想、追記 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 797.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2023-11-13
コメント日時 2023-11-25
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「雲が巡礼の旅人の様にゆっくりと流れて行った事を。」という表現は美しいですね。 でも旅人は省いてもいいと思います。
1語りかけるように伝わるように書かれたこの作品をどう受け止めれば良いのかぼくはわからなかったです。宛先は光へなのかもしれないと思いながら読みました。
1カズオイシグロの「クララとお日さま」のAIの独白みたいだなあと思いました。 思考が真っ直ぐであまり人間臭さがないように感じたからかもしれません。 どこをとっても美しい比喩でした。
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