別枠表示
テセウスの船
Who the hell is he? 有機質に取って代わる無機質 隊列は 交わり 蠢き かたちを変える 古い設計図の羊皮紙は燃え落ちた もとの顏がどんなだったかも解らない 怒りは 痛みは ( )は 確かにここに ここに 在ったのに 気付けば、波音は遠く 問1.記憶は誰のものか 一歩 一歩 進む毎 ミクロの肉が削げ落ちて それを 歴史、と 呼んだりもする 仕方ないので塩を舐め それを 身体、と 仮に呼ぼうか 問2.冷凍保存の魂が大気圏を出るまでの時間を求めよ 主観と客観で帆を織った 絹だったのは果たしてどちらだろう 価値と対価はいつから入れ替わっていただろう まだ、指先が温かかったころ 握りしめていた青写真は 切れ端くらいは残っているだろうか それすら無機質に変わるならば そのときは そのときは いっそ 問3.作者の気持ちを答えなさい
テセウスの船 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 916.7
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 8
作成日時 2018-01-01
コメント日時 2018-02-11
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 0 |
前衛性 | 2 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 0 |
総合ポイント | 8 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合 | 8 | 8 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「問」を挟んで展開される作品の構成、「痛みは/( )は/確かにここに」と書いておきながら「空欄を埋めよ」のような類の問題が出題されない面白さ、「古い設計図の羊皮紙は燃え落ちた」「問1.記憶は誰のものか」などの秀逸な詩行など、多くの美点が見出される一方、「問2」以降は陳腐と言いますか厨二臭いと言いますかポエミーと言いますか、改善の余地があると思われました。
0わー! 問3はちょっと嫌ですね 笑 この設問は「答えようがないがな」と数多の生徒を苛立たせてきた悪役だと思います。日常的な感覚では〈たちが悪い〉対話のボールです。答えるための精神エネルギーコストが高く、なおかつ、前提となっている〈解釈の幅を狭める方向づけ〉が息苦しい。 もしこの詩の問3が、読み手の解答を拒むための仕掛けだとしたら、かなり効果的です。まんまと問1,2にも答えたくなくなり、「対話」しづらい全体の記述と向き合うのにも腰が重くなってきます。 でも、そうじゃないとしたら、なぜ問われているのでしょうか。 テセウスのパラドックスは、この詩とどのような関係があるのでしょうか。 もしかしたら、これは詩の語り手自身が知りたいことなのかもしれません。 自問自答の軌跡として読むと、なんだかこの詩はしっくりきます。部分部分の美しさは、もっと深い内的世界へと繋がっている感触がします。 あるいは、全然私が読めていないだけかもしれませんが。 探求の成果を、また読ませてください。楽しみにしております!
0これは上手い詩だなぁと思いました。僕は作者の気持ちを答えなさいみたいな問いはあんまり好きじゃないというか、基本的に、そういう設問はあり得ない筈なんだけどなぁ、とは思ってる派なんですけど、テセウスの船のパラドックスを念頭にして置いて考えた時の最後の設問は中々面白いよなぁと思います。 全般的に喩えとしても面白いし、この読んでいる間に色々くるくるひっくり返っていく様は秀逸だと思います。 >Who the hell is he? > > >有機質に取って代わる無機質 >隊列は >交わり >蠢き >かたちを変える >古い設計図の羊皮紙は燃え落ちた >もとの顏がどんなだったかも解らない >怒りは >痛みは >( )は >確かにここに >ここに >在ったのに >気付けば、波音は遠く この導入がとてもいいです。野暮な解説はしたくないですが、ああ、しかし、好きな詩です。
0長いことコメントがついていることに気づかず、お返事が遅れてしまい申し訳ありません! 完備様 「秀逸」との評価、大変ありがたいです!表現が陳腐になりがちなのは自分でも目下の課題としているところですので、お言葉を胸に精進して参ります。 緑川七十七様 細かく読み込んで下さり、ありがとうございます。「自問自答の軌跡」というコメントには改めてハッとさせられました。書き手である私ですら気付かず書いていた部分を指摘していただき、勉強になりました。 百均様 今回も深く読み込んで下さり、ありがとうございます。「好きな詩」と言っていただけることが何よりの励ましです。 さて、全体を通して意外と各場面間の「問」に注目が集まったのは、小さな驚きであり発見でした。 ざっくり言ってしまえば、テセウスの船は変わりゆく「生命」のメタファーとして書いたつもりです。 であれば、特に注目の集まった「問3」の「作者」とは誰のことなのか、書き手である私のことで無いとすれば…。 詩は読み手様の解釈が加わって初めて完成するものと思っておりますので、解釈を狭める「答え合わせ」は最小限、ここまでにさせていただきたく思います。まだまだ書き手の未熟さ故に伝わりにくい部分が多々ある中で、細やかな解釈をして私が投げかけた世界を広げていただけたこと、深く感謝申し上げます。
0冒頭の英文。あいつはいったいどこのどいつだ?って訳になるでしょうか。 どこから発話されているか不分明なこれが、タイトルとあいまって、作品全体に浮遊感めいたものを与えているように思います。 個人的には、用いられる言葉と言葉同士の連結により、頭の中で生成される(読み手なりの)意味が勝ち過ぎてしまい、先述した「浮遊感」、読む心地良さ、を殺してしまっているように思います。作者の言葉のチョイス、言葉同士を繋いで組み上げていく構造、その辺りが弱いのかもしれないと感じました。
0miyastrage様 お読みいただきありがとうございます。 確かに、言葉や言い回しのチョイスや推敲不十分な点については自覚があります…。もっと読みやすく、またいろんな解釈に繋げやすいよう表現力を磨いて参ります。
0