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抱かれると喋る女
昨日 疎遠の親父が死のうと 遠くの ペットの墓を忘れようとも ただ黙って 今日も 帰りにビールを1本買う スーパーの店員に愛想が悪いなんて 世の中を馬鹿にしているようで 笑顔で物を受け取る 自然と 皆が 目を見てくれるようになった 余計な言葉 余計な考え 啓蒙すべきことなんざ たかが 評価は他人が決める 私は 平々凡々と ビールを飲む 親父が死んだとて いつものアパートの一室に戻り ソファーに横たわる 蜂が一匹 部屋に迷い込んでいる ミツバチ 可愛い奴だ 窓を開ける 出て行っても 出て行かなくても 今は いい ならば いっそ 仲間を連れておいで 養蜂所のように 蜂に包まれ 何者かも分からなくなればいい ウトウトしていると 男が来た 心配がメンドイ けれども それは 私が望んでいたことでもあり その音を聞いていると 蜂はもういなくなっていることに気がついた 男の膝に頭を乗せる この瞬間 いつも人生が見える これだけが人生 なんてちっぽけで なんて空虚で 誰かには愛らしい そう思うと 私は 男にキスをして抱かれる 男は「よく喋るね」という 私は抱かれると喋る女 「嫌いじゃない」 それくらいが丁度いい 嘘じゃないから 嘘は疲れるから 本当にしなくてはならないから だから 笑って 黙っている 抱かれれば 喋ればいいさ
抱かれると喋る女 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 990.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2018-01-01
コメント日時 2018-02-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
身近な存在を思考に重ね合わせ、意表をつくように否定的な見方で言葉尻を捻らせている。 抱かれると喋る女。抱かれなければ黙る他手立てもない。これは希望を見出したいという明日への願望で、実は淋しさへの裏返し。未来を見つめて歩み出したいという自己表明でもあるのでしょう。
0構文の捩じり方が私好みなのは置いておくとしても、タイトルも良いし、言葉の粗さは気になるもののよく書かれています。「男の膝に頭を乗せる/この瞬間/いつも人生が見える」の三行は、私がこの三行に深く深く深く共感したことを差し引いても、良いと言って差し支えない詩行ではないでしょうか。「言葉の粗さ」を指摘しましたがそれについて一点述べると、改行に無自覚なのではないかと思いました。要するに一行が短くて改行が多く、それ自体良いとも悪いとも言えませんが、例えば「心配がメンドイ/けれども/それは/私が望んでいたことでもあり」などは冗長な印象を与えると思いました。
0かっこいい。 数行読むまで、視点の性自認は男の人なんじゃないかと思ってたんですが、「あっ女の人の語りなんだ」という小さな驚きがありました。 思考が断片・散漫的に並んでいるのに対して、〈自分がいま何をするのか〉ということについては、この女性は常にクリアに焦点が定まっている。この倦怠感モードの中で、それが定まっているのは、かなりカッコいい。 自分を「抱かれると喋る女」と称するような人間性が、詩の外に立ち上がっている感じがします。
0投稿有難う御座います。『抱かれると喋る女』というタイトルがとっても良いですね。逸品なタイトルだと思いました。
0滅茶苦茶良いなぁ。僕は好きだし、好きだとしか言えないですね。なんつーか、宮田さんのファンですね。それだけです。
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