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祭礼
(1)水色の夏空 御田を神殿の霊の上に捧げまつる 水色の夏空が田んぼの苗を映し出されて 琴を鳴らすささやかな「神事」もさながら 豊作を祈る榊をかざして静かに鳴らす (2)富士の山開き 7/1の「富士山の山開き」で手を合わせる かの山から見渡せる遙か昔の大名行列を思わせる 富士詣出は全身に薄手の白衣を着て 今年の夏も大吉なり故 日本一の山を見上げぬ 頂上に達した人から熱き宇治茶が振る舞われて 「さてもさても幸丞(こうしょう)なれ」と一礼すべし (3)山笠 山黎が帽子の眼から登山口にうち重なりて 「山笠」をささっと挿(さ)さぬかな 病気の気を涼しげな祇園の飾りで退散 祈りは余り余りて祈祷を重なりて 博多は燃えるような祭りに熱気を称(たた)えて 海からの凉風は生命の癒やしなり (4)野馬追 ひばりヶ丘で野戦で戦う伊達軍と相馬軍 政宗公は「野馬追」で鍛え抜いた少年時代を 夢幻のごとく射貫(いぬ)きて「伊達男」を演じ侯(き)ぬ (5)催し太鼓 「船渡御」で夏の川の薫風を受けてその後に 打ち上げ花火が「どうぞようこそいらっしゃいました」 と言うように盆休みの見物人を賛嘆させぬる 「催し太鼓」はどんどこどんどん狸と狐が叩いてる (6)唄を忘れた時に歌う 私が居なければ忘れた唄はカナリアだけが知っていると思い込みて 貴男さえいさえすれば素敵といと愛おしくなりてカナリアの唄のように 「どこまでも囀りながら飛んでゆける」と言う夢物語に寄り添い合う ただ一人残された今の私には「唄を忘れたカナリアなど この世には居ない」と君との別れを口笛で吹いている (7)早雲寺の導師様 「夏安易」に座禅を続ける早雲寺の導師様 虎の絵の目が両眼に光ってる殿下の夢にも乱れぬまま両脚を崩さず 即身成仏は小田原から関東一延の万物の法力に支えられきぬ (8)尼僧の糸紡ぎ 南弥陀如来の信仰の厚い奈良県の山林の奥の門 曼荼羅は阿弥陀様の名号が掲げられた秘宝の紋 中将姫は尼のままそのままのピンとした姿勢で 毎夜真心を込めて「曼荼羅」の糸紡ぎせむかな
祭礼 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 2122.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 15
作成日時 2023-07-24
コメント日時 2023-08-15
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 3 | 3 |
構成 | 3 | 3 |
総合ポイント | 15 | 15 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 3 | 3 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 3 | 3 |
音韻 | 3 | 3 |
構成 | 3 | 3 |
総合 | 15 | 15 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
(9)可愛らしい拝納者 「最澄忌」に我が町の天台宗のお寺さんへゆく少年 緑の朝風が仏閣の風鈴をさざめき渡り 「御朱印帳に御朱印下さいな」と おめかくしげに可愛らしい仕草で頼めば お師匠さんは少年の「三顧の礼(頭を深く三回下げる)」に ニッコリして厳かに筆を動かして お師匠さんから少年に両手で インクの新しく匂う御朱印帳を差し出して頂いた
0(10)証誠寺の竹藪 鞍馬の山の竹切りで五穀豊穣を祈りながら作業を進める 根っこの強さと十五夜お月さんの如くやんやと踏んでも孟宗の竹藪 和尚さんと小僧が今や黒衣を着て剛腹な狸と「どうしようかの」と密談
0(11)哀しき涙 我が子を抱いて川を泳いで行く先は人だかりの死者だらけの死人の道なり 「原爆忌」に映し出される写真を見れば観客の若き娘さん達は一斉に目をそらす 「その私の手を取って取って抱いて!」と哀しく泣き叫ぶ被爆者の曾孫達
0「水色の夏空」は美しく、「野馬追」の戦国武将の描写が素敵だと思いました。 意図しているなら申し訳ないのですが、ビーレビューではルビも振れるので、 かっこで読みを表記するよりも、ルビを使われたほうがいいような気がします。
0個人的には3と7が好きです
0(12)沖縄忌 日本に唯一残された地上戦の傷跡の深き悲しみ そこで崖から海に一直線に落ちていったうら若き母親と子供達 返す波で崖が打つかり合って儚く 赤い血が飛び散っていった様な尊き生命と絆
0(12)沖縄忌 日本に唯一残された地上戦の傷跡の深き悲しみ そこで崖から海に一直線に落ちていったうら若き母親と子供達 返す波で岩がぶつかり合って儚く 赤い血が飛び散っていった様な尊き生命と絆
0おもしろい試み。
0野馬追と言うと相馬中村藩を想起します。志賀直哉の祖父などですね。伊達政宗公ともなるともうちょっと前なので、ああ、もうちょっと前からあったのだなと、さらに前からもあったかもしれないと地域の歴史を思います。早雲寺であれば北条早雲を思うのですが、この詩では導師様がでてきますね。中将姫は有名なエピソードが有るので調べて見ようと思いました。
0(13)「牡丹忌」の哀れみ 病弱なる身体なれば 生命を搾りきった様に 作られた数々の俳句なりたる 「ホトトギス」の 鳥の囀りの抑揚模様は 同名の同人誌に専念したりける 花散らした死に方には 「牡丹忌」と呼ばれて さても「ものの哀れ」なりける
0(14)晶子忌 戦争の悲しみを 弟一人に託して哀しく詠った 与謝野晶子の「花衣」の一編の詩篇 「君、死にたまうことなかれ」を 読んだ婦人達の息子が 一人一人蜂の巣にかかって 死んでゆく戦争の ほとばしる若き魂を 夏のお盆の終戦日の灯籠で供えているのだろう
0(15)立秋の朝 伸び放題の茅が 放射状に開いて そよそよと秋風にそよいでいる 葦の炭火は川の流れの水面に 天界を映した 忘れられぬ浄化剤なり 小鳥の季語は実りの秋 爽やかな風に乗って 山から里へ地鳴きしながら降りてきた #全て一行詩
0(16)秋の小川 隣の隣のニコニコした叔父様が 秋の小鳥の囮の作り方を 人懐っこい笑顔で お兄様達に表技だぞと言って教えている 保育園から母との帰り道で 両手を叩いて歩いてゆけば 道行く鳩もテンテケテンテケと 頭ふりふり進んでゆく 鮎は秋口の匂いを嗅ぎ分けて 先祖代々の川を遡ってゆけば 赤い糸みたいにユラユラと 尾ヒレを揺れながら産卵させぬ #三作とも二行詩
0(17)踊り子の見ぬ 秋の日和に海岸線を歩けば 根釣りの人が 崖の上から 腰折れぬ程の魚を釣りこぼす 踊り傘を被るのは 何者か 時雨なる雲水 「吹きすさぶ雨よのう」と 世を嘆いてる 盆踊りの夜で この浴衣の姿のお淑やかさ 切ない別れに涙する その愛しき色っぽさ
0本題の「踊り子の見ぬ」は、「二行詩」を三作書きました。
0(18)ウキウキ九月 楽しんだ夏休みの名残の9月場所 現代でも三役の勝ち力士を目当てに 懸賞袋の係が滑稽な土俵廻りをせむ 「花札」のカードに「月見酒」が出たら 新婚夫婦はお互い「うふふ」と笑い合い お坊様の大げさな仲人のスピーチを思い出す 9月の祭礼「地芝居」を演じきった幕締め おふく風な笑みを浮かべる我が同い年の従妹 皆で笑い話をしながら帰るのは肌寒い夜だから #三行詩を三作書きました。
0(19)夏休みの絵日記 ベイゴマで 籠の中の リスや兎さえも いと驚かすような 渾身の音を 一発ずつ立てて 小学生の 男の子達の ムンムンさせぬ 「夏休みの絵日記」を ただ傍で 描いていた私 菊人形を 片方の手の中に 持ちながら もう一方の手で 自らの首を 自害させぬ お菊さんの キリスト教信仰を 殉教させぬ 江戸時代に 描かれた劇画 お寺さんの縁日には 必ず立ち並ぶ 立秋の侯 秋の虫達が 綺麗な賛美歌の様に 忍んで鳴く 夜店で交わす しんみりとした 哀しい恋の音色
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