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羅針盤
虫を潰すと、水が流れている。砂漠に迷うと彼は、脳髄から桜の匂いを冬の空に投げた。 ピカソの欠伸、森の増殖の中を、彼は血管を抜いて行く。ガラスの羽根の睡眠に動きの種類もない。 彼は止まる瓦礫を踏む。人のしなやかな夕暮れに眠る炭酸の復活だ。彼は窮屈な人参スープの声に風邪をひく。 さみしくて、噴水の歌声が冷たい間、こうもりの産毛をむしった夜。道路に眠る空き缶の、静寂の震える肩甲骨の、泳ぎ回るふきのとうの太陽だった。 火の粉を生む。彼はひび割れた眠りを書き、林檎を踏むと、戸惑いを丸めて歌った。人参の鼻を曲げる。彼は完璧に溶けて行く。甘酸っぱい逃れ道が、黄昏のビデオテープに刻まれて行く。 星空を壊すほど燃える。冷ややかな喧騒に耳を貸す。彼は北極星を真似た蛙の背中について行く。瞳のケーブルを逃がす。 楽器まで猛獣に業火に、笛のミルクと暗がりに埋もれていた猛吹雪の濡れた鉄塔にクリームシチュー。皺の屈折。振り返り、電線からナイフの抜かれる瞬間を捉えながら、彼は三万もの夜を越えた。夜に、 増えすぎた愛を踏め!
羅針盤 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 882.8
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2023-07-16
コメント日時 2023-07-19
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
人参が二回出てくるのとクリームシチューがこの詩では視覚に見えすぎ浮いてるのですが。それが現実に留まらせるような気がいたします。ただ、ひとつひとつの文字列に行に区切りに、順序よく目を奔らせているときちんと繋がっているように見えます。言葉から排出されるありきたりな場所や世界をさまざまな意味に置き換えていけば自ずとですが。しかし『増えすぎた愛を踏め!』にするにはいささか飛躍しすぎている感もしますが。ですが、それまでに至る詩の蓄積が、思考を奔らせ最終行に集約すると至れば。もう逃れられなく結びつく強さがあると思いました。私の読みはただのこのみでしかありません。とても面白くおもいました。
0こんにちは。 言葉の日常的な使用を切断することも、詩の特徴の一つとらしいのですが、切断すると同時に美しさを表すのはとても難しいことだと思います。 この詩は言葉が散漫になりすぎて、個人的には美しさを見いだせません。 タイトルが「羅針盤」となっていますが、まるで壊れた羅針盤の如く、何処をも指し示していない印象を受けました。 (もしかしたら、それが作者の狙いだったのかもしれませんが) また最後の一行は、それまでの前衛的な雰囲気と比べると、やや陳腐な感じがします。ここは削除した方がいいような気がします。
0ダダ的なるイメージの奔出。 個人的に、ツァラに傾倒した過去を持つ身と致しましては目を留めざるを得ませんでした。 現代科学用語に依存していらっしゃらないスタンスも好感触でございました。 私は、買いますよ。
0ありがとうございます。
0そうですか。いつか、唸らせてみせますよ。僕はそのつもりで書いていますから。
0ありがとうございます。最後の一行が響かなかったようで残念に思います。
0ありがとうございます。また読んでください。
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