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一擲
はじまりの夜に賽子を投げるようなもの。すべて 祈られ、望まれたものにふさわしい形を与えるため 私も貴方も流れ転ぶ、瑠璃と色めき歌いながら 踊る、輪舞を――しかして軸点の《静》を それは背反こそを合理とする多次元華の咲く 未知の古里への小道である。 種は蒔かれ、芽はひらかれ レースは風に吹かれ、たえず揺らめき とけてゆく。テーブルには一枚の布があり 大切なものはみなそこに置かれている。 未明のなか、形と名を待つ子らをあやす 豊かな未声が、音もなく真綿のごとく 包み、水底を、そっと揺らす。 言祝ぐとしよう、生まれることが死ぬことであり 形と名とが定命の轍であろうと その重力こそが実存の触手、感動の気圧であれば この衣こそは代えがたきもの。だから、 たとえ地に降り積もる一塵のようにしか見えずとも 確かに奇跡だった、私も貴方も こうして出会うことが出来たことも。すべて 肉の門を介した、泡沫の祭り。ならば 私たちは皆、はじまりの夜に投げられた賽子のようなもの。すべてに ふさわしき、形と名とを与えようと流れ、転び、 瑠璃色に燃えて歌い、踊る。 輪舞を、しかして軸点の《静》を、努めて、 保つがいい――咲け多次元華! 未知の果て、いずれ至るべき古里の小道にて、待て。
一擲 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 939.2
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-03-07
コメント日時 2017-03-13
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
読者の皆さんには、なんとも恥ずかしくて言えないことであるが、ホントに私は無学なのだ。 『賽子』という漢字が何を意味するのか判らない。しかし、ググって調べることはせず。。それは、なんというか、現在の私で読みたい、読んで発せられるところのエモーショナルを第一義としたいから。もっと平たく云うと、一次情報が二次情報になってしまうのですよ。せっかくの作者からの贈り物が。 しかし、『賽子』というワードは本作のなかでは大事な言葉である。それはバカな私でも判る。この読み方は作者に対しては、大変に失礼なのかもしれないけれども、御容赦いただきたい。 では、キーになる『賽子』をどう意味付けするのか。 読者の皆さんには、バカな私に御付き合いいただいて大変悪いのだが、これは、何か投げる「モノ」であることは、書かれてある通り。次に続く、 『すべて 祈られ、望まれたものにふさわしい形を与えるため』 これは一体、なんだろう。私がもし、望みを託して、祈りを託して、投げるとしたら、それは、お金だ。 しかし、いくら私がバカでも、『賽子』という漢字がお金を指すことではないことぐらいは判る。いや、でももしかしたら、お金の隠喩なのだろうか。しかし、これ以上時間を割くわけにはいかず、「お金のようなもの」と仮定して読み進めることにした。。。。 最終連まで読むと、なんだろうか、ホントに「お金のようなもの」という仮定は果たしてよかったのかと、考えてしまう。 どうやら、人と人の出会いというのも、「偶然の必然」のようなことだ、というようなメタファーが見え隠れする。しかし、まあ、お金の存在も、偶然のようで、必然のようなものが備わっているし、それで由として読み終えた。 なゆた創さん、初投稿有難う御座います。
0えーと、三浦さんのボケの後に感想を書くのは実にハードルが高い感じなんですが、まあいつも通りにやらせていただきます。 まず、作者は相当の教養の持ち主と思われます。だって三浦さんが読めないような漢字を使うんだもの。私だって「水曜どうでしょう」を知らなかったら、読めなかったと思います(ごめんなさい嘘です さて、タイトルの一擲は、最初の行に出てくる賽子と合わせれば「乾坤一擲」であることは間違いないと思われます。人生は文字通り賽子勝負のようなもの。それは運命のそのもののように抗えないものなのか、それともその運命そのものを変える力が存在するものなのか。文体は流麗にして私のような無学には難解な部分も多い。しかし、その難解な表現すら心地よいのは筆者の力量と言えるでしょう。第一連は賽子に代表されるように日本的かつ古風なイメージ。しかし第二連になると、おフランスの風が吹いてくるのである。「テーブルには一枚の布があり/大切なものはみなそこに置かれている」は出来すぎなくらい格好いい。 それ以下は人間賛歌、人生賛歌と読むことも出来る。誕生の奇跡、出会いの奇跡。生まれることは死ぬことであり、人生は束の間の夢である。しかし語り手は最終連において「多次元華」という言葉を持ってきて、道の果てに古里の小道へと至ると説く。そう、彼は永遠を信じるものなのだ。そして私もまた、彼がこの詩で展開した思想を支持したいと思うのであります。
0色々な詩が投稿されているB-REVIEWですが、しかし、そのどれとも似つかわしい、毛色の違う詩が投稿されたと思いました。読み上げると、兎に角気持ちいい言葉の流れがあって、それがいいケレン味を出しているとまず思いました。なんとなくレスが出尽くしてる感じもあるのですが、レスしないのには忍びない作だとも思いました。端的な印象で纏めると、壮大なテーマを言葉の流れに乗せ、まるで何かの口上みたいにバッチリと決めている作品だなと思いました。
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