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砂
新憶の潰えたる肴の味したる新大久保にいたりて、皿が流れていく回転寿司の文様にふとしたことからじりりと醤油を詰めていった、傘の柄に地中海の絵を描きてトピカのひくりかえるありさま、素直な道のりを辿るようにしてそば粉の話題に移るのです。 「カメレオン戦争、人はそう呼びます。」 「ガラスの薫風が人の心を引き裂くのです。」 「ここには壮大な比喩もなく、文字もありません。」 「顔から滴り落ちる朝顔の汁をひたひたと渡していきましょう。」 ケーブルを引き抜き、トイレに入ります。電気をつけ、ズボンを下ろし、かがみこみ、力むと、過去が見えてきます。そこから先は、記憶へと続く長い道のりとなっていて、私にも判別がつきません。3Dプリンターを買った後に百均のクオリティに感動するような具合で、私の中の幻も現実と比較され、森を抜けてひらけた場所に出てきたときのような不思議な痛覚の底を辿り、流れる水の音を聴きながら射出した人工物のまどろみに耐え難き耐えを耐えゆくのです。
砂 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 977.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-12-13
コメント日時 2017-12-17
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
投稿有難う御座います。前衛的、実験作でないkaz.さんの作品はやっぱ上手いです。他意なくそう思いました。平易でありメタファーがある。いわゆる筆力。短文コメントですが一旦トップへ上げます。
0やっぱりkazさんが書く文章はかっこいいですね。それからナンセンスさもずば抜けてセンスがいいと思います。なんか矛盾するようですが、ここまでナンセンスだと本当に読みやすいです。中毒性ありです。これはすごい好きです。
0レスポンスを返す余力がないので、最近聴いた曲の話でもしますか。『戦ってしまうよ』というゲスの極み乙女の曲があるんですが、これがなかなか良くてハマっています。30分で書き下ろしたらしいですが、そうとは思えない出来。いつもお勉強させていただいております。
0砂ですか。砂にもいろいろありますね。感覚的に濁ってる。壊れてもいそうなので砂利、若しくは砂嵐のほうがよいのでは?とか思ってしまいましたがね。最後は~耐えてゆくのです。ではないかしらん?
0〈新憶の潰えたる肴の味したる新大久保〉新憶、を、記憶、と「空目」しました。なぜでしょう・・・懐かしい記憶の奥にある場所、という前提で読んだのか・・・。 しんおおくぼ、と、しんおく(記憶、の新しいバージョン、的なイメージ?)の音韻。味したる、も、味したたる、と「空目」したのですが、これも「ついえたる」との音の引き合いから引き出された言葉、でしょうか。 「カメレオン戦争、人はそう呼びます。」 「ガラスの薫風が人の心を引き裂くのです。」 この会話(対話)が、洒落ていて多義的で(現代社会を批判的に映しているようでいて、同時に、かっこいい、言い方をしてみただけ、というような表層的な美しさにもなっていて)気に入りました。 〈かがみこみ、力むと、過去が見えてきます。そこから先は、記憶へと続く長い道のりとなっていて、〉この流れも、とても素敵だと思いました。冒頭の「新憶」が、新しく刻まれていく記憶、であるなら、ここからは過去の記憶に繋がっていく。それも、身体的に「排泄」するように生まれる記憶を、自らも統御不能のまま、眺めている、感覚。眺めていること自体が、果たして快感であるのか、不快であるのか・・・〈不思議な痛覚の底を辿り〉辛い程ではないけれど、やはりピリリと痛むような、刺激のある体験である、ということでしょう。 私が記憶を排泄するのを眺めているイメージを持つ後半と、世相を言葉に変換していく、それが表層的に流れていくのを見ているような前半との幅の大きさ・・・ 場所というか、空間を切り替えることで、うまく架橋していると思いますが、〈ケーブルを引き抜き~〉の前に一行アケを作っても良かったかもしれない、と思いました。
0皆さま、ありがとうございます。 アラメルモ様 耐えゆく、でも文法的には正しいと思います。言い回し的に古風になりますが。 まりもさま 行空けはあまり考えていませんでした。行を空けると勢いが削がれるので。 仲程さま 素敵な感想をありがとう。
0掴み所がないですね。普通はそれでつまらなくなるのに、これはつまらなくない。この感慨は珍しい。講談のリズムです。砂のような文体の中にどれだけの情報がつぎ込まれているのか、でも出てくるのは糞ですね。脱糞しているのに、脱糞してない。
0どうもありがとう。 百均さんへ 最近は語りの脱臼ということをよく考えていて、それがいつかきっちりとしたテーマのある作品として昇華すればいいなと思っているのですが、これはまさに語りの脱臼が主題なのかなと思ったりします。
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