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プリン
果実の上で横たわる女 きっと鼠の脇腹の匂いを嗅ぎ過ぎたのだろう 梟が4分の3拍子で鳴き続けるので 葉の裏に棲む鉱石の蛹は地面の上へ落とされてしまった 滝の水が下から上へと流れるとき 時計の針で歯と歯茎の間に挟まった倦怠を掻き出すとき 眼の中を走る血管の束によって宙吊りにされた星々よ 蜘蛛の巣のように淫らな言葉がその陰部をひくつかせている 影の影がないのはなぜか どこにある 君は光よりも弱い存在だ 手を洗った後に取り出されるハンカチの中にも かよわい影が眠っていたのだ 排水口に引っかかった哀れな子犬を抱きかかえ 火をくべた暖炉の中へ放り込んでやろう 灰まみれの乳房を優しく撫でてやろう その小指につけた君の指輪で 僕らの中に穴を開けよう 拳銃の可愛らしい寝息に耳を澄ませながら 微笑む眼の充血した蟻がいる
プリン ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1270.7
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-03-06
コメント日時 2017-03-11
項目 | 全期間(2024/12/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
詩的なフレーズがいっぱいあると思いました。葉の裏に棲む鉱石の蛹や歯と歯茎の間に挟まった倦怠や影の影がないのはなぜかなど。他に灰まみれの乳房などですね。読んだ甲斐がありました。
0お読みくださり、ありがとうございました。感想が聞けてよかったです。投稿した甲斐がありました。
0>排水口に引っかかった哀れな子犬を抱きかかえ >火をくべた暖炉の中へ放り込んでやろう >灰まみれの乳房を優しく撫でてやろう >その小指につけた君の指輪で >僕らの中に穴を開けよう > >拳銃の可愛らしい寝息に耳を澄ませながら >微笑む眼の充血した蟻がいる ここがすっげぇ。最後に蟻っていうのがいい裏切り方だと思いました。つまり「充血した目」に極小の生き物のイメージ、ここではまるで働き蟻を人間に見立てたような錯覚が起きる。なんとも殺伐とした詩で、何が何を表しているのか、初読みの段階ではあんまり分からない所も多いけれど、最後のフレーズにむけられて組み立てられた導火線みたいな物が節々に見える。(という事はある意味で明瞭ではない所もあるという事ですが) 後はプリンっていうのがなんなんだろうなぁ… >果実の上で横たわる女 とあるからおっぱいみたいなもんかなと思いました。という事で上で書いたよくわからんというのは一連と三連のイメージっていうのがなんで置かれたんだろう。という疑問です。ここら辺について他の方の読みが少し見てみたい。
0最初のフレーズで何となくルノワールの裸婦像を連想したものの、そのイメージが固定する間もなく梟は鳴くわ鉱石の蛹は落下するわで、私の頭は語り手のイマジネーションの連射によって蜂の巣にされてしまいました。それにしても鉱石の蛹からは、いったい何が出てくるのでしょうか? 第二連もルイス・キャロルのような不思議の連続が、読み手を言葉の迷宮へと誘い込みます。 全体的に言えることですが、第四連は特に童話的です。それも本来の童話のように残酷さが剥き出しになった感じがあります。子犬の部分は「かってに改蔵」の羽美ちゃんがハムスターを(以下、自粛)を連想しました。お願いだから助けてあげて! 最終連の「拳銃」ですが、個人的にはこの部分だけ少し違和感がありました。ククリナイフとかじゃダメなのでしょうか。目の充血した蟻は、普通サイズではなく巨大なものを想像しました。あるいは、読み手自身が作者の魔法によって蟻よりも小さくなってしまったのかも知れませんが。
0【18歳以下の方。読むの厳禁の以下コメントです】 私のペンネーム三浦果実の果実とは椎名林檎ちゃんへのリスペクトを表している、ということはまったくどーでもいいことですが、『果実の上で横たわる女』とは、禁断という名のセックスのシンボルだと思う。セックスを作品にする時、読者を問答無用で縛ってしまうような強引な文体が必要であり、更に大事なことはタイトルである。タイトルとは、キスである。男はキスでイってしまうことはないけれども、女はキスでイってしまう。ことがある。タイトル『プリン』。どうですか?読者諸氏。
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