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悪友
くわえ煙草が似合う気障な男は言った 「悲しいことは全て忘れてしまえ」と 愛想つかして出て行ったあの子にすら 未練は無いようで気ままな一人暮らし くわえ煙草の煙が目にしみた男の口癖 「怪しい奴らに全てを奪われたのさ」 愛されもせずに男は裏路地で午前三時 未練のありそうな顔で一人野垂れ死に 二人は友人同士 悪いことも良いことも 幼い頃から同じ場所で同じことをした 慰め合うのはしみったれていると信じ 虚勢を張り続けて最後まで本音を隠し くわえ煙草の一人が死ねば気障な男は ありふれた女とありふれた婚約をして 身を固めてひっそりと暮らそうとした 世の中に蔓延る乾いた空気から逃げて そんな矢先に男はある事情で殺された 事情を知るもう一人のくわえ煙草すら この世にはいない 涙を流す女だけ残り その涙も乾く頃には全て忘れ去られた
悪友 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 892.1
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-12-10
コメント日時 2017-12-29
項目 | 全期間(2024/12/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
投稿有難う御座います。これは好きな作品です。描かれる男の気風が伝わってきました。「怪しい奴ら」というのが、なぜか私には1960年代のB級スパイ映画(邦画)をイメージしました。私が本作に感じるのが「古いけど、良い」というものだからかもしれません。今後とも宜しくお願い申し上げます。
0三浦果実さん、コメントありがとうございます。よろしくお願いいたします! 確かに、B級スパイ映画のようなものを意識して書きました。あらゆる表現方法を試しつつ、なるべく引き算をしてこの詩が出来ました。 僕自身、古いものがとても好きなので(年代は違いますが、映画では太陽を盗んだ男など)、その年代の空気感を、その時代を生きてこなかった僕が俯瞰した目、ある意味冷めた目線で描きたいな と思っています。 ハードボイルドのようなものを意識した詩集を作りたいとも、思っています。
0はじめまして宜しくお願いします 優男然りの昨今、まだこんな男くさい言葉を並べられる詩に出会えたことに驚き 男の生きざま的な後姿にある哀愁もそこかしこに並べられ 最初から最後までニヒルなダンディズムを匂わせてくれました、 単にそれは煙草の匂いではなく、文中から漂ってくる男の気配からです。
0李沙英さん、コメントありがとうございます。 男くさい言葉というのは、とても嬉しい評価です。 文中の男たちは実際にいないですが、僕は信じて疑わない存在の男たちですから、その気配を感じて頂けて、幸いです。
0静かな時間さん、コメントありがとうございます!事務的に向き合う様子が淡々と描かれている、ということを受け取ってもらえてとてもうれしいです。 引き算していき、残ったものの美学を追求していきたいと思ってます。 コントロール力がもっと身につくように、日々精進いたします!
0形の整った詩っていうのは、整える事が先行して無理矢理堅いか、改行を無理している印象が強い偏見が僕にはあるのですが、この作品にはそれがなく、文章として流れていきます。制限のある中で流暢に紡がれる言葉なので、それだけで価値を感じてしまいます。シンプルな語り口の中で淡々と消えていく人間達の気配を感じます(李沙英さんの気配という言葉は凄くいいと思いました)二人の男の説明というかキャラクターが立っています。でも立たせるのは大変だと思います。そうやって、制限のある中で立ちがった煙草の煙が、人間の気配と同化する所に本作の強さがあります、しかもそれらを最後淡々と消してしまう、それは遠慮のない乾いた空気が何もかも無かった事のように風化させてしまうように。そうする事によって人間の気配も同時に消えてしまう。最後のラスト、涙も全て消してしまう所が、痺れました。
0百均さん、コメントありがとうございます! 整った文章を書く上で、整える手法に足を取られて意味合いや語感に無理が出ないようにすることに気をつけました。 この整えられた詩の作品は何作かありますが、自分の中でも自然だと思えるものを投稿させていただきました。 そこに価値を見出していただけたなら、書いた者として凄く幸せなことです。 男たちの生き様を淡々と描くことを詩作の目的としているので(自分が男なので、男のことを書きやすいのでは?と思って始めたことです)、これからも文脈を途切れさせることなく、文章を整えることが出来るように精進したいと思っています。
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