濡れた髪が
半分乾いて
ちぎれたケラチンが
床に落ちている
肺のへこむ音を
じっと
きいていると
血液が
さっと赤くなって
骨の
浮いた手首が
水に浸けられている
空気をかき分けるまつげに
ちいさな水が
流れ込んで
鼻腔の奥が
そっと
つめたくなる
洗い流されてしまった
声が
ぞろぞろと
くずれてゆくのを
じっとみている
のどが無性にかわいているのに
服が
びしょびしょに
濡れている
電気を落とした
天井から
降ってきた涙は
透明な針の
似姿をしている
わすれてしまった
すべてが
首筋を
すべりおちて
ひとはわたしを
やめられない
光のないまなざし
それをさがしているのに
真空ガラスの外に
時がある
振動のない浴槽で
そっと背を丸め
つぶやいた
なにかを
きくものは
誰も
いないでほしい
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 775.9
お気に入り数: 0
投票数 : 1
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作成日時 2022-10-07
コメント日時 2022-10-10
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
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2024/11/21 20時36分11秒現在
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勝手な解釈ですが、「血液が」と「さっと赤くなって」、「骨の」と「浮いた手首が」を行分けされている事で、「血液」と「骨」という言葉が強調されて、自傷行為の悲痛な呻きがより伝わってくる凄さを感じました。タイトル『放散』の、外側へ強く放出し発散するという意味からも、そう捉させて頂きました。 また、「わたしはひとを」ではなく「ひとはわたしを」とする事で、自己と他者のお互いが主体であり客体で、まなざしを向け合い、向けられ合っているというのを表しているのかなと思いました。
1重みが欲しいのです。 解釈は任せます。
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