コインランドリーの冷たい椅子に
花束を抱いて腰掛ける
小さく回る地球を止めずに
恐ろしい速さで巡る、春と夏と秋と
後に続くよく知らない季節
布団カバーは靭やかなりにも
すぐ隣の回らない世界が心配らしい
シャツの襟の汚れを目で追った
忘れられたコインがコリコリと音をたて
まだ若い性癖が暴れ始める
半分液体で半分雄の戯言が
三十分と経たずに読み終わった
衛星みたいな片割れを遠い宇宙に置いてきた
終盤では砂しかない国でオレンジの皮を剥く
とんでもない罪だと罵られた
顔を上げると故障中の煙草の自販機
そこに本物そっくりの夜が覆い被さる
本物だぞ、と教えてあげたから
お返しに昇天させてくれてもいい
慈愛に満ちたその指ならば
歩道に置かれた鉢植えに浮かぶ植物の燃えかすが
今にも夜逃げの機会を伺っている
思い出せる限りの迷惑は
足跡を隠すために敷き詰められた
飛べなくなった鳥に代わって
雑踏の意味を噛み締めながら歩く
ぶれないように慎重に
明日もし髭を剃らなければ
誰かになってしまう程度の強度で
ある時は逆さまに、またある時は真横にされるが如く
それでも子供らは奇声を上げ
向かいの老紳士のこめかみの下
奇怪な形の染みを見つけては歓喜の声を上げる
それ以外は概ね宇宙の一部で
同時に長距離の始まりでもある
欠けている美しさなら尚更目に焼き付けなくては、と
日陰の花の欲しかったものが
今ではもう想像すら叶わずに
ランドリーの回転が音もなく
あ、止まった
作品データ
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#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/09/20現在) |
叙情性 | 0 |
前衛性 | 0 |
可読性 | 0 |
エンタメ | 0 |
技巧 | 0 |
音韻 | 0 |
構成 | 0 |
総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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2024/09/20 15時40分21秒現在
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