芭蕉の花冠 - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

ことば

ことばという幻想

純粋な疑問が織りなす美しさ。答えを探す途中に見た景色。

花骸

大人用おむつの中で

すごい

これ好きです 世界はどう終わっていくのだろうという現代の不安感を感じます。



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芭蕉の花冠    

雲だけ。 列車の窓際から覗き込めるのは、 果汁の滴る太陽の残滓。 両掌に浮かぶ花は花ではなく、 干からびていくのを待つだけの、種無し。 YouTubeで連なるshort動画を眺めては、 常に点灯するシナプスと、死滅していく脳細胞をも感じる。 滑空していく燕が、羽根をもぎ取られ墜落する。 芭蕉の横顔は旅の途中でやつれ、 もう二度と色艶を取り戻すことはなかった。 座席に揺られ、黎明が訪れる間際、 同じ目をした群衆の大波が押し寄せる。 情報でもなく、動乱でもない声の渦に 飲み込まれては自分が消失していく。 触れはしない自我が完全に消滅した時、 花の言葉が聴こえてくる。 ワタシ、ワタシは今ドコニイマスカ? ワタシ、ワタシは何ヲスレバヨイデスカ? 手を差し伸べても救い上げる人はいない。 花は自ら選んだ拒絶の中でのたうつしかない。 花びらを一枚ずつ潰されていく過程で、 可能性の断片を一つずつ失っていく最中に、 彼女の見た夢は奪われ消沈していく。 列車は終着駅に近づく。 太陽は渇き飢えて、尚且つ何も求めず、 鎮座しつつ干上がっていく。 芭蕉は寡黙になって久しく、 色を失った空に残るのは、 残酷なまでに茫洋とした、 雲だけ。



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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 1046.7
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2022-08-27
コメント日時 2022-08-27
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/11現在)投稿後10日間
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前衛性00
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閲覧指数:1046.7
2025/04/11 22時30分44秒現在
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