別枠表示
イキチガイの空
7月の青空は狂っている。それは屍の色だった。曇ることのない悪意だった。安定した職業と収入、死ぬことはない程度の幸福感を得てなお7月というのは未だに狂いの側面を隠そうとせず、研がれた刃のように鋭く薄くなってゆく。いずれ腐る生き物たちの正常な呼吸すら煙って。『そんなものだよキミ、人生というものはね』蒼白くあなたはまるでアニメか教授のようなイントネーションで。諦観はそう、このような晴れた日に剥き出しになる。だから私は青空の下で泣かないのだ。 優しい人間だけが夜濡れている、そしてあらゆる人は優しく誠実なのだ、私たちは狂いの下では真っ当な自分を保てないというだけなのだと思う。
イキチガイの空 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1035.2
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 5
作成日時 2022-07-27
コメント日時 2022-08-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 5 | 5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
私も病気に狂わせられかけた経験がありますが7月の青空は確かに変に形が整いすぎて怖いと思う事がありますでも素晴らしく綺麗だと思うこともあります。私は季節限定のこの7月の青空を楽しみたいと思います
0個人的には絶望感みたいなのをもっと転落する様に突っ込んでいってもよかった気はしますね。 それで最後、微かな救いがあるみたいにして。 推敲次第で傑作になりそうです。
0私も迷ったところなんですよね。「思う」で濁したのは、 本当に他人である人間が夜に誠実かはわからない、 それでもそう思うこと/思えることが大切なのではないかという気がしたからなのですが、 単純に読後感を悪くしているようにも思います。 感想ありがとうございます。
0「変に形が整いすぎて」 ちょっとわかります。青いのだけど透き通りすぎているからでしょうか。 その不気味さ含めて美しさだと思うし、私も残り二日間、七月の青空を楽しめたらと思います。
0何か物足りなさがあるのはわかります。 描写力というか現実味なのかな。 傑作になりうるかもしれないということで、来年の7月には推敲にチャレンジしてみようかと思いました。 感想ありがとうございます。
07月と言うと通常梅雨明けの月と認識されて居ると思うのですが、今年は梅雨明けが早かった。諦観を持つと言う事。優しい人間だけが夜濡れていると言うのは衝撃的でした。まっとうな自分を探す道が詩作そのものなのかもしれません。
0こんにちは。最後の「思う」は、沙一さんも書いているけど、ホント悩ましいですね。ここはどちらがいいのか正直迷います。 全体を通して語りのゴー・ストップがはっきりしていてテンポをよくしている分、散文体でも冗長さを感じさせないし、内容としても平坦さがない。切り替えのよさはうまく編集されたショートムービーのようです。 なにより本文と題の対応がいいですね。カタカナでイキチガイとしたのはわかりやすすぎるのでは、とも思いますが、わかりやすい分、「行き違い」「きちがい」「生きちがい」などと連想させられました。
0