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シスター
白いアスパラガスを食べる。 マドモアゼルの白い指、 曲がりも反りもせぬ、 節さえない指の死蝋を、 噛み砕く。 わたしの臼歯をなでる 乙女の薄緑色の爪。 口の中に広がる 青春の悔いの苦さを好む。 わたしたち、 なんでも深刻ぶって話すのが 大好きだったよね。 大げさに痛がって 躓いたぐらいで泣きじゃくって、 そのくせ、ほんとの痛みなんか 何一つ知らなくて。 幸せだったよね。 死にたがったよね。わたしたち。 死が救いにはならないってさ、 知らなかったの。 きれいな花も甘いお菓子も 向こう岸にはないことも。 このアスパラガスはあなたの指だ。 ゴシェナイトのような 冷たい舌ざわりが、 わたしに筆をとらせた。 喉の奥をこするのは あなたからの言伝てだ。 まるで 押し花の栞だ。 苦くて青臭い。 わたしたち、二人になりたくて、 でも恋敵だった。 何もできないのを 自分のせいにするのは、 とても気持ちがいいから。 わたしはあなたに バラの花びらをかぶせる。 いちばんきれいな形のまま 石膏を注いでしまうのだ。 恋人どうしになれなかったね。 また同じ、あなた 約束を破ってばっかり。 ねえ、ほら 制服のリボンを結んだ あの小指でしょう。 祈るように握った その指を、 折るのはわたしがよかった。
シスター ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 742.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2022-07-18
コメント日時 2022-07-18
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
きれいです。女学生同士のレズビアン的プラトニックな恋を想像しました。未成熟ゆえの青さ、美、それが白いアスパラガスに現れ、おしゃれな雰囲気も。
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