熱く熱くなって行く薬罐よ
我が貧困なる生活には欠かせざる
湯を沸かしましょうか我が血液も
沸々熱いサイダーみたく心打擲
貧太り窮太り困太り骨痩せる
全部混ざって固まって
棒になった生活達
そうれす我貧棒な人れす
薬罐ぴいぴい泣いているではないか
辛抱出来ませんかそんなに蒸気噴かせて
もう少し辛抱出来ませんか
こちらは貧棒なんです
病んで震えてる恋女房
意図もせず薬罐に触ってしまって
心まで火傷してしまって本当に可哀想
我不作法な程困ってしまって棒な夜
まさに沸騰せんとす薬罐ぴいぴい
火ぃ消して湯ぅ冷ましてよぉ
白湯でも呑みましょう落ち着いて
さあさ困った困った銭が無い
皮も心も火傷した女房よ許せ
どうぞ抱きしめてお上げます
どうぞ泣いておくんなさい
薬罐よその注ぎ口の奇妙な曲がり具合すら
嗚呼憎らしい金を呉れ
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 1127.2
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2022-07-09
コメント日時 2022-08-11
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 22時40分43秒現在
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なにか率直で、清貧という言葉を思い出しました。貧しさの中に恋女房と白湯がある、その純度の高いピュアリティが鑑賞に堪えます。文章も手慣れた感じがして読みやすい。70年代のような雰囲気で好きです。贅沢をして心を散らす孤独もあれば、貧しさの中の愛もあり、なんでも満ち足りることは難しいのかもしれません。
0湖湖さまありがとうございます。貧困と詩と生命、全て大切にしたいと思いつつ書きましたが、何処にも飛んで行けません。苦は苦のままに。
0>そうれす我貧棒な人れす ここは「そうです。私が変なオジサンです」のようなニュアンスでしょうか。 呂律が回ってないのは酔ってるためか。貧困のつらさから飲んだくれて荒れているヤカン。ヤカンに自分を投影したしなめている貧棒男。 すぐに棒になるところでこの男、向上心も行動力もなく、じっと同じ場所でぴいぴい吠えてるだけの負け犬なのである。落語でいう与太郎、早い話が変なオジサンである。 あえてケチをつけるなら、 >沸々熱いサイダーみたく心打擲 ここのサイダーは、やかんの中で沸き立ったものとしてはイメージしづらかった。 とはいえやはりクオリティの高さ、センスの良さは脱帽ものです。 上質感と洒落っ気を感じさせる、これぞ長谷川節といった作品か。
0薬罐ってやかんなのですね。 薬罐ぴいぴいをみんなはどんなふうに評価するのでしょうか。むかしお正月に祖父と話したときのことを思い出しました。朗々とリズムをつけて話すんですよね。
0お読み下さり本当にありがとうございます。悪ふざけをしたくなってしまうのが、私の悪い癖です。もっとedgeの勃った、もとい、立ったカッコいい詩を書きたいのですが、修行する程浪花節、もしくはラジオ川柳の如くなってしまう所が悩ましい限りですが、まあ、焦らず研鑽致しますので、何卒宜しくお願いします。
0やかんに笛付き蓋が被っていて、沸騰するとぴいぴい鳴くやつの事です。兎に角、お読み下さり、又、ご感想まで頂き感謝します。
0人です。ではなくて人れす。ここにも詩が有ると思いました。
0ご感想ありがとうございます。恐縮です。本当にふざけ切った言い振り何ですが。ここが肝なのです、そこうぃ掬って頂いて嬉しく感じ入っております。お読み頂き感謝。
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