誰かが少女に言った
宝石のような恋をしよう
少女はマーカサイトのように固くうなずいて
二人はルビーのような恋に落ちた
手をとりあって
かけぬけた草原はエメラルド
夜空は深いサファイアで
瞬く星たちはみなダイアモンドだった
そして真珠のように二人は抱擁した
空がアメシスト色に染まるころ
二人は次のあいびきの
約束をした
「トパーズの海が見える丘で」
次の逢瀬を思うと
少女の心はガーネット色に染まった
いったいあれから何年たつかしら?
トパーズの海を見ながら
いつまでたっても少女はまちぼうけ
オパールのように移り気な彼は
いまごろだれといるのかしら
猫目石に似たその瞳を
思い出すたびに
アクアマリンの涙が落ちて
ためいきはみんな琥珀となった
だからでしょうか
宝石箱をあけると
今でも
少し
胸がちくりと痛むのです
もっとも、今では
ほんの少しだけ ですよ
作品データ
コメント数 : 3
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作成日時 2022-07-07
コメント日時 2022-07-08
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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2024/11/21 23時29分45秒現在
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どんな宝石だったんでしょうね。気になりますね。
0室町礼様 このたびはお読みいただき、率直なコメントもいただき、ありがとうございます。 室町礼様の視点がとてもユニークで、何か別の詩が生まれそうだと感じました。 エメラルドとアメ玉の対比、興味深いですね。 私の意図としては、永遠ではないけれども色鮮やかだった恋を、永遠性の象徴のような宝石で描いてみようと思い、宝石をモチーフにした次第です。
0武下愛様 このたびはお読みいただき、コメントもお寄せいただき、ありがとうございます。 どんな宝石か、はお読みいただいた方の心に浮かんだものがすべて正解のように思います。 素敵なコメント、ありがとうございました。
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