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交-流
犬、あるいは遠くにいる人。髭の男は蝋燭の火を吹き消す。星の砂漠、あるいは不毛の夜。男は祈りとともに床に就いた。 肉を食べる。それは、生きていくために仕方のないことだった。私は、彼を殺して食べる。彼は私の義理の兄である。 私の言葉はみんなの共有財である。私は世界の倉庫から言葉を借りて使っている。 オペラカーテンが絞られる朝、犬は女になっている。光の海で、かつて男だった巻貝がゆっくりと目を覚ます、感謝とともに。 貝を食べる。彼女は私の姉妹である。私はそれをソテーにして食べる。甘い香りがした。 みんなの言葉は私の言葉である。誰もが、私のタンスから言葉を盗んで使っている。 女は巻貝を拾う。銀色に輝く殻、それは星屑の残滓がこびりついたものだった。女は巻貝を鞄にしまうと、家へと帰っていった。 私は食べられる。私は私の敵に食べられるが、彼は私の弟でもある。私の妹は彼の妻であり、肉の焼ける匂いが広場を包み込んでいる。 あなたの言葉は私が贈与したものである。私の言葉はあなたから贈与されたものである。それは、交換あるいは相互の盗奪である。 夕焼けの窓辺に、犬と髭の男が佇んでいる。男は歌を歌った。犬はそれを聴いていた。2つの魂は互いのために祈った。
交-流 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1120.0
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 53
作成日時 2022-05-04
コメント日時 2022-06-04
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 13 | 13 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 5 | 5 |
エンタメ | 5 | 5 |
技巧 | 13 | 13 |
音韻 | 5 | 5 |
構成 | 10 | 10 |
総合ポイント | 53 | 53 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 6.5 | 6.5 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2.5 | 2.5 |
エンタメ | 2.5 | 2.5 |
技巧 | 6.5 | 6.5 |
音韻 | 2.5 | 2.5 |
構成 | 5 | 5 |
総合 | 26.5 | 26.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
とても好きな詩でした。 今の私を作っているのは今まで出逢った方々によって作られており、私に出逢った人々の一部は何かしら私の影響を受けて生きているのかもしれない。たった1人では生きていけなくて、誰かの言葉で生きていける。 第一連と最終連の結びがとても好きでした。
1コメントありがとうございます。 「三つ編み」というのはまさしく我が意を得たりといった感想です。
1コメントありがとうございます。 おっしゃるとおり、私達は1人では生きていけないわけですが、同時に他者と生きていかざるをえない、ということでもあります。難しいですね。
0うまくまとめられないけれどこの詩すきです。 ことばが仄かに光っている感じ、なのかな..
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