別枠表示
お腹を空かせた王さま
私達はとても貧しかったので、土を耕して作物を収穫することを覚えました。今日の糧を得られたことを喜ぶ私達を見て、よその国の王様は、「それを私に寄越せ」と言いました。王様は、城のご馳走の味に飽きてしまって、どんなに贅沢をしても、私達の粟の方がずっと美味しそうに見えるのでした。 私達はびっくりしながらも、畑で採れた作物を献上することにしました。また食べる物がなくなってしまいましたが、作り直せばいいだけだと言って、大人達は泣いている子供を慰めました。城では王様が、こんなに不味い食事は知らないと言って、一口食べただけの皿を片付けさせていました。 王様は、世界中の人々から取り上げたご馳走をテーブルに並べてみましたが、どうしてもその美味しさが分かりませんでした。私達の貧しい食卓を見ても、まだ、きっと自分にはご馳走の代わりに毒を盛ったのだろうと思いました。もう何を食べても、砂の味しかしなかったのです。 とっておきのご馳走をと、私達が一生懸命になればなるほど、王様は不機嫌になりました。ついに私達の中から飢えて死ぬ者が現れ始めても、痩せこけた理由が王様には分かりません。取り立ての役人が皆殺しにされ、王様が本当に飢えてあの粟の味に気付くまで、そう長い時間は掛かりませんでした。
お腹を空かせた王さま ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 877.6
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 15
作成日時 2022-05-01
コメント日時 2022-05-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 7 | 7 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 3 | 3 |
総合ポイント | 15 | 15 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 7 | 7 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 3 | 3 |
総合 | 15 | 15 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
いろんな読み方ができる作品だと思うのですが、 私は王様に感情移入してしまいました。 王様として生まれつくという、自分ではどうすることもできないある種の不幸と、 最後には人として大切なものをとり戻すことができたという救いを感じました。 でもそのための犠牲も多大ですね、、 いろいろなことを考えさせられました。
0貧しさも食べ物がなくなるということも、何も知らないけれど、 誰かが幸せそうにしている姿を見ると腹を立てる所なんかは、人間味があるとも取れる気がします。 王様が一番ひもじかったのかもしれません。 有難うございます。
1王様側の視点から読んで下さったのですね。 何度もこんな風に国は滅びて、また築かれてきたのかもしれません。 死ぬ間際に王様が、料理に満足出来なかった訳に気付いたのは、確かに救いです。 上に立つということは、多分思うよりずっと難しいことですからね。
0この後王様が農民に優しくなったとしても、 犠牲になった方々は甦りませんし、許して貰えない気がします。 もう少し書きたかったのですが、ここまでで筆を置きました。 これを読んで下さるような方は、決してこんな真似はしないと思います。 有難うございます。
1これはおもしろい。贅沢三昧の王様には他人の食事(栗)の方が美味しそうに見えて食べるが、当然まずくて食べられない。どんなご馳走も王様の口には合わない。王様が飢えて栗の味に気付くまで時間はかからない。よくある話ですね。世間には王様までも行かなくても贅沢三昧をしている人たちがいてただそれが高級だから、希少だからという理由でたいしてうまくないものを無理して食べて「おいしい」と言っているセレブがいますね。彼らは心の底では飽きているんですよ。
0自分達の食料を確保するだけで必死の国民と、 横取りしてまでご馳走を食べている王様と、 どうして富がここまで偏り、お互いに不幸になるのか不思議です。 コメント有難うございます。
0残酷なお話ですね。
0救いのないお話ばかり書いてしまうんですよね。 コメント有難うございます。
0