五十メートル走で初めて七秒を切った日
燕尾服の似合う彼が電線にとまって
意見を述べている
今日の飛行機雲は短くて可哀想だと
小さな願いを紡いで張り巡らした蜘蛛の糸
拒むことで何から逃げられるのか
選ぶことは選ばれること
私は指を差し続ける
見た目だけでもいいんですよ
それなりに整ってさえいれば
瓦礫を積み上げてトラックが走り去る
芽吹いたばかりの新芽の色がそれを必死で隠そうとする
はたらかざるものくうべからず
そんなのわかり切ったこと
さっきからスマホが鳴っているけれど
聞こえない振りをしています
賞賛は怖いもの
強く生きるのはもっと怖い
祝福だけなら誕生日で十分
必要とされなくなってやっと自分の出番が来ました
置いて来た目印をいつ回収しようか
預金通帳がいつまでも本当のことを言わないので
私も随分嘘つきになった
えんしゅうりつはさんてんいちよんいちごにきゅうり
ばななのかわだとすってんころり
それでも指先は迷う
選んだ先に何もなければいいと願いながらも
誠実に
艶かしく
ああ
あああ
ひたすら鉛筆を尖らせながら
私は今日から国です
国旗も国歌も決めましょうか
わかってますだから
選ばれなかった人を選ぶ
選ばれるべき人以外全員
選びたいのです
運河のある町に雪柳が咲き揃う
サイレンを鳴らして救急車が
袖の中にまで入って来ようとする
何処かにピンクムーンでも落ちてやしないかと
探してはみるけれど
破れた景色が少しずれてるだけで
ポケットの中で見つけた飴玉は半分溶けていた
選ばれて嬉しいですか?
誰かに伝えたいですか?
その誰かは貴方にとって必要な人ですか?
私には必要です
でもそれはただ側にいて欲しいからで
本当はその手を引いて
一緒になって遠い国まで駆けていきたいと
思っています
ていへん
かける
たかさ
わるに
ほらただしい
荒れ放題だった芝に手を入れる
最後に「この人」を選んで
その背中を強く、強く
押した
昨夜飲み切れなかったミネストローネを眺めながら
このまま知らない星に行ってしまっても
同じ味のミネストローネはあるだろうかと
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 974.0
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2022-04-20
コメント日時 2022-04-21
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 6 | 6 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 6 | 6 |
閲覧指数:974.0
2024/11/21 20時40分30秒現在
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何かに当選されたのでしょうかね。 題があざといなあと思いつつ読み、自分自身があざとかったと反省しました。 変わりそうで、しかしそれにも期待するほどの厚かましさはなく、裏切られての悲しみよりも大切な人を変わらず思いたい。 いい雰囲気だと思います。 個人的に作中に疑問符が使われていなければ間違いなく投票していました。 まあ好みの問題です。
0ありがとうございます。お察しの通りまずはタイトル、なんか変なタイトルないかなと思って最初に目についた言葉をそのまま、あとはどれだけその言葉から逃げられるか、追いかけっこです。 疑問符はですねー、なるべく削るように気をつけてはいるんですが、何度か注意されて。質問がそもそも多いんですよ、私の詩って。聞いてばかりいないで自分で調べろよって言いたくなりますよ。
1ありがとうございます。かつては自分もあのように高い空を飛んでいたのだと、今でも飛べるのだと、悔し紛れに言ってはみるものの、今は自分のすべきことで精一杯で、せいぜいどうでも良いことを上げつらうしかないという、でも飛行機本人は前しか見てません。全く気にしてないどころか、たぶん聞こえてない、いや聞こえない振りをしてるのかもしれませんよ。
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