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セルロイド
大統領が「貧乏人よ 金を産め!」と演説力説しておりました 哺乳瓶を持った暴漢が僕のノド元に迫ります ――ひーっ子だくさん、助けてひーっ、子だくさん子だくさん 取りあえず喚き散らしてみたのです 産めば! 産めば! 鶏は卵を産めばぁって 水色のアイスキャンディーを咥えて口から漏れそうな母乳を塞ぐんですけど ミルク臭い口臭を隠すのにはグリーンミントのメンソール煙草がベストでして ラズベリーブルー高原で風に吹かれてハイウェイの公衆便所で言葉を失うメタルジャンクの薄っぺらな響きに 早朝の吉祥寺の薄いカルピスの中を吸ってアスファルトをゆうゆうと歩いたのです 眼前に赤く塗られたカラスが一羽舞い降りまして スプレー缶の赤でこっちを向いてギャラ、ギャアー喚き騒ぎ 線にとまる仲間らも皆でかい面して威圧するのです スクラップにされたTOYOTAカローラをきどって歩く子猫を視姦するスクランブル交差点に群れる人影と野獣人人の公園では ネコの怨念が飛ぶしなま首がにゃ~にゃ~言って浮浪者を起こすありさまでして ぎゅう乳をやると首が増えるんのですが むしろくびの無いイヌも走っては腹を見せて浮浪者に甘えてしまえばいいのです ばつぐんにすだれ髪のオヤジの性癖SEX, SEX, アウシュビッツの女所長の重金属塊から漏れる血飛沫ギガガググァーンゴギュギュビュプニュボゴそのままに 過食嘔吐のクランケはシンデレラ城のお姫様でして セルロイドのハイヒールには揚羽蝶の刻印だとメルセデス王子は角刈り藍色の冷たい肌で舎弟どもを蹴飛ばすのです 僕は神の子を溺愛します 白いプレシジョンベースギターで殴ってください嗚呼イキそう《る~るる、るるる、る~るる、るるる生活~♪》産経製薬の提供でした 湘南海岸のパンクスおじさんどもに僕は群がり 腕とか耳が飛んでおります いちめんの青空に風がそよぎます めっさウザいのでアイスクリームを注文しました 店員の女は声優でした 店員が「トリプルは1万円だ! とっとと払え、ひょっとこ野郎!」と言いました 僕は小銭を投げつけて変な顔をしてやりました トイレに行って 畑に埋もれていたセドリックたちが甦りました 髪をなでると手がポマードだらけになりました 蛇皮のエドワードジャケットになすり付けました 排気音を轟かせて駅のロータリーに行くと すでにおじさんだらけでした 轢いたら ゴト ゴト と揺れます フロントガラスに変な顔のおじさんがくっ付きました 貧乏人は産むのよ 貧乏人は産んでおしまいなさい貧乏人にはマイホームをと アルタ前のスクリーンでは宣伝しております おごそかに そのように 吉祥寺には鎖をひきずるイヌたちとともにゴミためをあさる異様な美少女がおります ぴっちりした尻をみつめて「いいものあるかい」って僕に「レモンがたりないのよ」との困った顔の君は きっと世界で一番いい女です すきないろは あかスプレーに淡い夜明けなのです 知能指数「1300」のスプレーガラスの将軍さまは公園の森から来ました 頭がデカイのです 凄くデカイのです ギャアー ねぇ それはもう 注文してあるんですよ ちのいろ贖罪の色とかわいいがすきなおんなのこはきっと そらのことしか考えないのでしょう 日の出が呼んでます
セルロイド ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1006.0
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-11-02
コメント日時 2017-11-07
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
大統領とあってトランプ来日を想起し、そういった社会事象に感化されての作品か、と思いきや・・・言葉の勢いがスゴイですね。ねじめ正一の朗読を、なんとなく思い出しました。 冒頭は吉祥寺の街中を歩きながら、ある種の写生的情景なのかな、とも思ったのですが。〈ネコの怨念が飛ぶしなま首がにゃ~にゃ~言って浮浪者を起こすありさまでして ぎゅう乳をやると首が増えるんのですが むしろくびの無いイヌも走っては腹を見せて〉このあたりから、幻想の力がぐいぐい増してくる。〈ばつぐんにすだれ髪のオヤジの性癖SEX, SEX, アウシュビッツの女所長の重金属塊から漏れる血飛沫ギガガググァーンゴギュギュビュプニュボゴそのままに〉このあたりは、意味を問うということよりも、劇画漫画の一場面を見ているような疾走感を感じました。強度のある言葉が連続しているけれども、言葉が近い場所に集められて居るからでしょうか、それぞれの強さが相殺して、意味が軽減されているような印象がありました。 最後は吉祥寺に戻って来るのですね。全体に散りばめられた車(擬人化されて、存在感を増した車)のイメージもあり、都市を(レンズの効果で)まるでおもちゃの街のように撮影する写真家(名前を失念)を連想したりもしました。 セルロイド、という言葉の昭和感、チープシックなイメージ、そのイメージとハイヒールの組み合わせの意外性が効奏しているのか、どうか・・・大量のモチーフに埋もれてしまって、セルロイドのインパクトが薄まっている気もするのですが、どうでしょう。 ハイテンションで続く詩行の数というのか、濃度が濃い、分量的に多い、ような気がしますが・・・ THE都市、といった読後感が残りました。
0まりもさま、丁寧なコメントをいただき、ありがとうございます。 朗読用のテキストなのですが、この拙作に批評という価値をつける作業をしていただいたことに、深く感謝いたします。セルロイドのインパクトですか、たしかに。 本作を朗読するときは、抑揚をつけて、滑らかに、ときどき舞台俳優のように声を張って発話してみたいです。
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