別枠表示
埋葬、汀にて
時が河ならば林道の死体達は刈り揃えられた残酷を物語る思惟浅き知遇と会いつつ焼夷弾の揮発した街を問題視するべきなのであろうか、 黒々と亙る雁の図形は有機的であるがゆえに愚劣であるか、なぜ田園の草花は調味され調律されているのかを答えよ、 誰かしら孤独になってゆく街の壁へ罌粟の花束を篩い燃やすとも絶対の海溝は思想より理性化され、 一切の油膜をミルテの許に繋がれた蹄鉄へ押し返す華々しい戦争物語がいつの間にか改竄されている青空の事実に立ち止まり声は脆く嘶くだろう、 幸福であるという現実は終ぞ一匹の蚤すら把握しえないという、 螺鈿の蓋の底は墓地で在り、鹹くも錆びた風見鶏達の指摘する現象はその重量を墜落し、 昼空を漕ぐ鞦韆の健やかな半身は遠近へ引裂かれてしまったのか、 そこかしこに青い十字の暴虐は目を見開いた様で硬直しながら倒れていた、 倫敦、或は良く観察された梟の、鶴嘴より頭を垂れて炎天の鋪道に輾転と、甲殻の黴は黝ずみながらも悦んでいた、確かに愉しいと言った、さも不遇を愉しむ様に、確かに、 加虐と被虐は同一の円弧を計りながら秤量天秤の柄を抑え、不在の重力に慄いていたならば、広告売買人どもの姿見は、曰ありげな冬の時計畑に、 如何やら燈台建築を列ね、希臘の宮殿工達の争論を、余りにも壮観な悲劇装置へ投影し、永続の犯罪者である俺を、貴様等を、目くるめく俳優群像劇へ 配役を定めたいらしい、冗談じゃない、俺は昨日の俺ではないのならば、一体明日の貴様とは、世界とは誰なのか、去勢された桜どもが俺はいけ好かない、 だから殺したのか、俺が誰を殺したのか、それは概して問題ではない、間違って崇め奉られたその報復を、俺は受けなくてはならない筈だというに、 この生温い、往復時計は再び俺を死の縁へ突き落すだろう。へらへらと哂い乍ら、曲り角には夜のテラスが在り、今日も死刑囚達の乾杯と喝采が、昨日と同じ、 同じ?何が等しく尺貫法を喧伝したのか、偶発的な発砲は先制攻撃なのか、ともあれ知らぬ間に泥濘を突き進んでいた俺達、一連隊の前に、 一軒の窓枠に首を突っ込んでいる、銅版画の中の少年少女達は皆強姦され、虐殺をされ、生きた侭焼き殺されて行った、何が起きているというのか、 俺達は偶然の再会に挨拶を返していたのではなかったか、何時の間に俺達は前線にしょっ引かれ、交戦をしなければならなくなったのか、 それに、これは戦争じゃあない、虐殺だ、酩酊した薔薇の絵が霞んでは詳らかに、張付いていた、勿論、時計畑の中で、だ、 腕の根元から拉げた狂人が、天国と地獄のばかばかしい、倒錯に溺れ絡め捕られている、こんな頓狂な筋書を用意したのは誰だ? 夜は優しいだろう、でも俺はもう夜には帰れない、狂った時計、も、俺、も、言葉 も、皆紛い物の盗品ではないのか、 俺だけの俺とは誰だ、少年少女を殺したのは誰だ、死刑囚を死刑足らしめた理由とは誰だ、 誰もが狂っている、俺も、貴様も狂っている、早く目が覚めてくれ、俺は俺の生活に帰るべきだ、つまらない夢を滔々と語るのは已めてくれ、 俺は幾億にも亙る執行を受けては、その度に、執行直前の現実に帰る、偶然の死は皆水と等しく、俺は自身の詩を永遠に掴む事が叶わない、もう止して呉れ、 精神病院の窓には金網が張って有り、俺はそれを叩き割って遁れる事なんて出来やしない、俺は狂人のまま死んで行くだけなのか、ドアを開くと海岸が広がっていた、 海岸には電気椅子がご丁寧にも用意されていた、俺は俺の、このくそったれた物語に一発の破綻を来して遣る、電気椅子、或は処女航海の座礁船の夢よ、さよなら、 目が覚めると、時計は9時12分を差して、或は良く観察された梟の、銅版画の中の薔薇の絵が、死刑囚を死刑囚たらしめる、処女航海の電気椅子に、腕の根元から拉げた狂人の、 曲り角には夜のテラスが、狂った時計の、俺はそれを叩き割って、執行直前の現実に、かあかああがあぐうううううくごえうろ、かあかああぐううおえう、がががが、 時が河ならば林道1111111111の死体達は刈り揃えられた残酷を物語る思惟浅き知遇と会いつ11111111つ焼夷弾の揮発した街を問題視するべきなのであろうか、 黒々と亙る雁の図形は有機的であるがゆえに愚劣であるか、な1111111ぜ田園の草花は調味され調律されているのかを答えよ、 誰かしら孤独になって111111111111111ゆく街の壁へ罌粟の花束を篩い燃やすとも絶対の海溝は思想より滂沱され、 一切の油膜をミルテの許に繋がれた蹄鉄へ押し返す華々しい戦争物語がいつの間11111111にか改竄されている青空の事実に立ち止まり声は脆く嘶くだろう、 幸福であるという現実は終ぞ一匹の蚤すら把握しえないという、 螺鈿の蓋の底は墓地で1111111111111在り、鹹くも錆びた風見鶏達の指摘する現象はその重量を墜落し、 昼空を漕ぐ鞦韆の健やかな半身は遠近へ引裂かれ111111111111てしまったのか、 そこかしこに青い十字の暴虐は目を見開いた様子で硬111111111111 俺は/ぼくは/狂っていない/いる/のは、だれなのか、潮騒が、窓か、ら噴き込ん、でくるか、ら、散ってしま、ったね、ぼくは向、日葵がき、らい ん _______________ _________________________________________________________________________________[[[[[[[ ]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]]:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::] | なにもいいたいことなんてないんだ 赤赤と小さなたましい 汀に寄せ返す、モノクロの連続写真は、絹を引いた様にあざやかで昏かったから、 椅子に凭れて哭いて、姉の、兄の、妹の、母の、ばらばらとなった顔を集めて、 埋めた、土を掘り返して、骨が出てきたから、 赤い雛罌粟と一緒に埋めて、戻した 石の壊れた、花を、埋めて戻して、 なにもいいたいことなんてないんだ、 寂しいから、わからないから、その先を何が意味するのかが、 だから、蹲って、モノクロの海の写真が、産まれたての目玉が、見た夢を、くりかえしくりかえし、埋めて、戻して、 なつかしいみず なつかしいみづ 穢れたみづ 啜るみづ 帰る 帰るよ と それは いつからここにいて いつからここへいたのかが ぼくには わからないから
埋葬、汀にて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1892.7
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 27
作成日時 2022-03-18
コメント日時 2022-04-09
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 6 | 6 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 4 | 4 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 7 | 7 |
総合ポイント | 27 | 27 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 3 | 3 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 2.5 | 2.5 |
音韻 | 0.5 | 0.5 |
構成 | 3.5 | 3.5 |
総合 | 13.5 | 13.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
詩の中で随分長い時間が流れたような気がします。そうですね、およそ80年ぐらい歴史は繰り返してしまうのでしょうか
0思弁を賜り、心より嬉しく存じます。 普く人間の成せる所業とは、斯く迄も。と黙し、したためさせて頂きました。
0好き。
0感想を賜りまして、ありがとうございます。 本作は小‐叙事詩への試みであり、そして全き失敗作でございます。
1挑戦される心意気が素晴らしいです。作品も私は好きです。
0折り返しのお言葉を賜り、嬉しく存じます。 概ねの趣旨と致しましては。起源からの普遍的な事象、暴力の応酬を、外部からではなく、状況の坩堝より、追体験し得る事を目的と致しまして、記述する試みをさせて頂きました。 普く教条、つまり善悪の果樹「知恵」が孕む根源的な問題、つまり対立概念、対義性に拠る、我々の問題解決可能性へ、聊かでも疑問を、投じられましたならば。幸いでございます。 蛇足でございます。 或は二項対立とは、ヒトの脳が発明を遂げました、状況把握の為の単純‐簡潔化能力としての「現象の情報化」に纏わる、システム固有の深刻な問題であり、 此れは、抽象的思考‐判断の抱える一つの病理なのではないか、とも。考えて居ります。 現実に即して申しますが。 抽象、対義性の為に、具体が死を択ぶ。馬鹿馬鹿しいとは思われませんか。
0二元論をぶっこわす!
0極めて感情的である種の怒りが感じられるのにそれも含めて統制され、理知的に描写されていると感じました。 古びた機械の歯車が少しずつ加速していき、最後には火花を散らして崩壊する。崩壊した機械のパーツを冷たい日差しが照らしている。そう言う映像を幻視しました。 前半・中半の硬さが後半の柔らかい文章を際立たせていると思います。前半は少し途切れ途切れの問いが続いているんですがそれが中盤に向かうにつれて徐々に流れを生んでいき、加速していくことで、読み手の中にリズムが生まれてくると思います。意図されたかは分かりませんが、中盤は漢字の難読性が低下していることも加速感に一役買っているのではないでしょうか。『狂った時計、も、俺、も、言葉 も、皆紛い物の盗品ではないのか、』のところで一度ストップしてから再度ギアを上げていく感じにもテンションが上がりました。 今まで語らせていただいたように、長い長い緊張感とそれでも読み進めてしまうスピード感が続いたことによって、最後にそれが止まってやわらいだ時、ようやく息ができるような安心感と虚脱感があると感じました。 また、良い意味で古臭さのある文章が、デジタル的に変質していく様子も面白く、ぞわぞわしました。 なんと言いますか、語られる言葉は決して明るいものではないし、かなりハイカロリーな作品なのに楽しいんですよね。柔らかい楽しさではなくライブに熱狂するような楽しさです。 ただ、前半・中半の硬い文章が極めて統制されて理知的に書かれているだけに、一瞬それが緩む部分が気になるとも思います。もちろんそここそがよみあじであると思われる方もいるでしょうし、私の好みの問題ですが。特筆すべきものとしては、『くそったれた世界』と言う表現はちょっとありがちですし、この部分と『時計は9時12分』は両方とも漢字ではいけなかったのかなとも思います。なんだかそこだけ妙に軽いです。
0折り返しお返事を賜り、ありがとうございます。 必然、二元論は、単元論の相克の結果でございますから。本邦に於いて一般化をされた中庸論、つまり寂滅(無理でしょうけれども)こそを、望みたく、思っております。 理想を語らんとすれば、その綺麗事に思わず苦々しさを覚えてしまいますものですから、余り、多くは語りたくはございません。 如何ともし難い面倒な性格だと、自らを存じますが。 屹度、作品を以て語るべき事なのでございましょう。
1巨視から細微へと及ぶ、ご講評を賜りまして、心より嬉しく存じ上げます。 前半、「俺」の視座からの状況筆記の流れ迄、に附きましては、無意識裡に、記述をさせて頂きました。 後半、冒頭箇所の繰り返しの破綻から、結句に至るまでの流れは、意識的に、記述をさせて頂きました。 詰めの甘さが、自動的記述ともなりますと、如何致しましても露呈を致して仕舞うのでございましょう。 それが、世界‐俺と謂う、稍陳腐な、セカイ系的対立構図、思考へと堕し、 或は9辞Ⅰ2分とう、数字の表記にて全体との調和性、より逸れて仕舞いましたのでございましょう(因みに、記述中に、実際に確認を致しました時間を。そのまま拝借させて頂きました。) 何よりも、聊かでも面白く愉しみ、お読み賜り下さりましたならば、それ以上の至福は、御座いません。 孰れにせよ。結局、普く作品とは。只の想像力の自己満足、自己欺瞞に過ぎないのでしょうから。そしてそれは本作でも同じことと、存じ上げます。 真摯なご講評を賜りまして、繰り返し。有り難うございました。
0最初の方と言うのか前半部分なんかは、ウクライナ的な時事的な話題が反映して居ると思いました。最初の詩想を、「1111111」を入れて繰り返しているのは、コンピュータープログラムっぽい感じがするのですが、重要な内容だからでしょう。図の部分は朗読の時などではどうやって読むのだろうかと思いました。水(みず)はみづと旧仮名表記で、こだわりがあると思いました。「なにもいいたいことなんてないんだ、」と言うのはちょっと衝撃的で、華族が出て来たので、弱音らしき発言が出て来たのかと思いました。
0ご講評を賜り、嬉しく存じます。 彼の構成の意味する所を、陳べさせて頂きますならば。 如何に壮大な主題を取扱うとも、真実らしきものとは、結局は私小説的な体験(それさえも、虚飾脚色に充ちては居りますが)に帰属するしか術無く、 人間の描写し得る現実、リアリズムとは畢竟その程度の個人的経験にしか起源を築けぬ、下らない物語にしか過ぎない。と謂った諦観を、工ませて頂きました次第でございます。
0鷹枕可さん、って、どうお読みすればよろしいのかしら。中国の方なのかしら?今回の詩は口語的で少し読みやすかったし面白かったです。大人になってロマンティシズムがひしぐものですね。だから暗く歪んでディストーションが美にかかる、それがあなたのように大人という合理性と無力と夢の間の情念かと思います。いつもは呑気であほな七色好きの私ですけれど、あなたの社会で存在するためのあなたの詩、好きです。元気で生きていってください。私も狂人の時が実際あるのですが、狂人の悲願として、左腕に蔓草が人差し指から肩まで巻き上がる刺青をいれようとしたものです。森の魔法少女の幻視ですね。つげ義春のネジ式の片腕の血管にネジをつけた男なども思い浮かびました。
0レスポンスを賜り、嬉しく存じます。 長く長い、狂気の一時代(漫画や、ゲーム、セルアニメーション等等のサブカルチャー産業への需要夥多時代)、が終焉を迎え、新しい、別の狂乱の時代の一幕を、存えている様な、心境で居ります。 没落と拝金主義、貧窮と富裕の断絶を、如何に争わず、生き凌ぐべきか。自身の想像力よりも高くを周る、飛礫の様な星屑の雲に、更に微細な存在として在る、この矮星「地球」の狭さを、実感しつつも。 私にとりましては、絶望的に青く深い、昼の影に窒息を覚えることも頻りでございます。 決して青空は最高密度、等ではなく。網膜にも深き残酷を湛え有り。刻一刻と死、収束へ向かう、全ての主観的事象に意味を探すなら。畢竟狂うほかにはないのかも知れず。とも。 そして 諸事象の第一起因すら、われわれの「科学」を以てしても定義し得ない現実裡に有って。紛うなき現実とは、果して孰れの脳裏に表象されるものなのでしょうか。 決して天才であろう筈も無く、凡庸よりも更に最下層の。「私、或は私達」が横溢する、正確且つ確実な社会的精神へ。 獄舎の内より喃語の如く喚く外なき、古物市の割鐘とでも、拙作を取扱って下さりましたなら、幸いでございます。 此処まで、全く返答とはなっておりませんでした事実に気付き、筆名に附きまして、返答させて頂きます。 読みは、予め定めてはおりますが、詩の如く、正しき訓は各閲覧者の皆様へ委ねたく、存じております。 それでは。ありがとうございました。
0