そっけない自殺、エロ漫画日和 - B-REVIEW
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そっけない自殺、エロ漫画日和    

たとえば、浴室の隅、シンクの中、 爪切りが落ちていることに気づく。 いつの間にか、爪が短い。 タオルを放ろうと洗濯機を開ける、 濡れた服が洗濯槽の壁に張り付いている。 洗濯は水曜と土曜なのに。 わたしは夜毎ねむりに落ちて、 わたしの知らないわたしをいきる。 成人式の前祝いだから、 妹とふたり、旅館に泊まった。 ひとりになった夜、生まれてはじめて、 妹モノのエロ漫画で抜いた。 内在することを認識していない詩情、 すなわち幸福に満ちたモチーフ、が 乱雑に書き留められている、 国民年金の書類。 本文を失った註釈は、 本来の機能を果たせない。 わたしは註釈だけを引用して、 原風景を忘れた詩を編む。 わたしは夜毎ねむりに落ちて、 わたしの知らないわたしがいきる。



そっけない自殺、エロ漫画日和 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 7
P V 数 : 1539.3
お気に入り数: 0
投票数   : 1
ポイント数 : 6

作成日時 2022-01-22
コメント日時 2022-01-24
#現代詩 #縦書き
項目全期間(2025/04/17現在)投稿後10日間
叙情性33
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧33
音韻00
構成00
総合ポイント66
 平均値  中央値 
叙情性33
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
技巧33
音韻00
構成00
総合66
閲覧指数:1539.3
2025/04/17 09時54分08秒現在
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    作品に書かれた推薦文

そっけない自殺、エロ漫画日和 コメントセクション

コメント数(7)
エイクピア
作品へ
(2022-01-22)

「注釈」が引っ掛かりました。「原風景」にも立ち止まります。そもそもそっけない自殺とは何だろうか、そんな自殺有り得るのだろうかと思いました。

1
安里和幸(Groww)
安里和幸(Groww)
作品へ
(2022-01-22)

眠ることは少しだけ死ぬことだ。という有名な諺が真っ先に思い出されました。夢遊病者と近親相姦の夢、国民年金の詩的な解釈など、読みごたえのある作品ですね

1
三浦果実
作品へ
(2022-01-23)

そっけない自殺、ってなにげに強烈なワードに思います。なんというか、生きてるか死んでるかという命題も人類は通過しそうな感があって、いや、それ通過したら人類滅亡してるとも思うんですが、死生の倫理と比較すれば近親相姦なんて容易く通過しちゃうように思いますよね。読んでそんなことを考えました。 余談ですが、過去に水上さんの作品へ2度読む気にならないなどとコメントしていたんですね...,... いやあ、水上さんの作風は以前からあまり変わっていないように思え、つまり私の感性がこの2、3年で開かれたんだろうに実感しております。 これからもご健筆、陰ながらエールを!

1
水上 耀
エイクピアさんへ
(2022-01-24)

エイクピアさま、コメントありがとうございます。 引っかかっていただけた語があってよかったです。その部分はやや観念的かなという恐れもありましたので、スルーされなくてよかったと安心しています。 自殺って、問題解決の手法の中ではかなりそっけない部類なのかなと思っています。まるで本作品のそれだけが「そっけない」ようである記述になってしまっていますが、実際はこの世に存在する自殺の大半がそっけないんじゃないかなという気持ちです。「そっけない自殺」のおおよそ反対に位置する語は「親身な自殺」なのかなと思いますが、こちらのほうが存在として不気味なように感じていていたり、いなかったり。 本質にせまるようなコメントをありがとうございました。 別件ですが、前回の投稿作品にいただいたコメントへコメント可能期間内に返信することができませんでした。せっかくコメントをいただいたのに、ご好意を無にしてしまい、申し訳ございませんでした。 よろしくお願いいたします。

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水上 耀
安里和幸(Groww)さんへ
(2022-01-24)

安里和幸(Groww)さま、はじめまして。 コメントありがとうございます。 >眠ることは少しだけ死ぬことだ。 ステキな言葉ですね。これを受けて、科学の話をふと思い出しました。「生物は睡眠状態が基本の状態で、覚醒(眠っていない)状態は緊急時の状態である。生物は元来、常に睡眠状態だったが、エネルギーを過分に消費する代わりに機敏な思考や行動を実現可能な『覚醒状態』を獲得することで、生物は捕食者や異常事態に対応できるようになった」というお話です。ひとが眠らなければいけないのは、ずっとエマージェンシー状態ではいられないから、という教訓的な意味合いにもなりそうです。 眠ることは少しだけ死ぬことであると同時に、起きることは少しだけ頑張って生きることなのかな、とふと思いました。ごめんなさい全然関係ない話になってしまいました。 読み応えのある、との評価、うれしく思います。 励みになる感想をありがとうございました。

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水上 耀
さんへ
(2022-01-24)

沙一さま、いつもコメントありがとうございます。 >秘められたものに、あるいは見て見ぬふりをしていたものに、とまどいながらもこっそり光をあてて見ようとしているところ おっしゃる通りかもしれません。 今回はあくまで願望として推察いただいていますが、「普段は秘められているものが、ある情動をトリガーとして開放される」といった超新星爆発的な瞬きについても、詩と実際の近親相姦に似たような部分があるのかもしれません。 示唆に富んだ感想、ありがとうございます。 >おそらく、一つひとつの詩行を、妥協せずに綿密に練られているのではないかと思われます。 励みになるコメントをありがとうございました。 よろしくお願いいたします。

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水上 耀
三浦果実さんへ
(2022-01-24)

三浦果実さま、コメントありがとうございます。 生物は高度に進化するほど生殖機能が低下する、という話を聞いたことがあります。種の存続といった意味合いでも、生と死の境界はどんどんあいまいになっていくのかもしれませんね。自殺というよりは、すべての死がそっけなくなっていって、いつか生もそっけないと感じる時代がやってくるのかもしれません。 コメントの件に触れていただいて、ありがとうございます。 当時もそうですし、今もそう思っていますが、あのコメントは間違いなく私にとって好ましい影響がありましたし、的確なアドバイスであったと感じています。 作風があまり変化していないというのは私としても同感です。ただ、いただいたコメントを転機として、技術面は向上の一途をたどっていると感じています(不遜な言い方ですが!) 最近のびーれびは毒にも薬にもならないよう心がけることを良しとする風潮が主流な気もしますし、それは治安的にもよいことなのでしょうが、厳しいコメントが特効薬になることも往々にしてありますね。 三浦さんの感性のように、私の詩的才能が開花する日を求めて、今後も精進していこうと思います。 励みになるお言葉をありがとうございました。 これからもよろしくお願いいたします。

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投稿作品数: 2