雨戸の角を上に上にとなめくじは這ってゆく。魚釣りの餌にするにはどうしたものかと考えている黒猫のほっぺたを横から姉の茶トラが器用な手つきで抓る。一重まぶたと瞳が真剣なところがよく似ているねと云われる姉弟。ふたりとも優秀で大学の付属小学校に通ったから近所には友だちがいない。
外れかけの半ズボンの肩紐の位置を直してあげながら姉が
「ほっぺた、柔らかい」と笑んだ。
庭は家屋を二棟建てられるほど広く、車庫と併用された平屋が一棟、部屋として与えられている。部屋には18インチのカラーテレビが置かれていて朝も夕方も夕飯の後も黒猫と茶トラはいつもふたりでテレビから離れることはなかった。テレビの前だけではない。食事のために、隣の本棟のリビングへ出て行く以外、寝る時もふたりの布団はぴったりと並べられていた。
ちんばを引く弟の黒猫は、ちんばを引くことがどういうことなのかまだ理解出来ていなかった。茶トラの姉はその頃には既に弟を愛しんでいた。恋人のようになったのは二人が高校生になった頃で、はじまりは黒猫の弟が姉に距離をとりながら行動するようになってからだった。バスを2回乗り継ぎ通う学校までの間、たとえばバス停で黒猫の弟は姉と一緒には並ばず、乗り込んだ車内でも同じ席には座らなかった。茶トラの姉は弟が思春期を迎えていることを知らない。(つづく)
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 1832.7
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 20
作成日時 2022-01-16
コメント日時 2022-01-31
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 15 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 0 |
総合ポイント | 20 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 15 | 15 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 5 |
総合 | 20 | 20 |
閲覧指数:1832.7
2024/11/21 19時56分20秒現在
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知ってるよ(╹◡╹)笑
0教えて下さり、ありがとうございます泣
0えっちな読み応えの作品ですよね。 僕なら、大体かけたので、「つづく」とはせず、大雑把に改行を追加して、これでヨシ!っていいながら投稿したと思います。 本当に続いたら面白いけど、永遠に続かないなら、それもいいかもしれない。。 >ふたりとも優秀で大学の付属小学校に通ったから近所には友だちがいない。 この早くも遅くもないタイミングで、この作品の形を決めたのは、絶妙なタイミングだと思います。 これはこういう作品ですよっていうのを読者にどう伝えるかって結構大変ですよね。 計算でやることっていうよりも、むしろ駆け引きのセンスなのかも。
0コメントありがとうございます。元々、小説書きが上手くなりたいという理由からネット詩に参加しだした経緯がありまして、ある程度は満足できるところにきた感があります。詩を書くって、誰でも出来ると思うんですよね。でも読み応えのある短編小説を書くのって難易度高くなりますよね。詩は韻律であり、小説は全体を通してのグルーヴであり、高い難易度とは1作品あたり5,000文字以上を書くこと。エッセイでも小説でもよいですが、それが出来る能力を持つ人が書いてる詩作品と、「短い詩しか書けない人」が書いてる詩作品、私的には時間を有意義に使いたいので、前者を優先して読みに行きますね。で、言うまでもなく世に出てる著名な詩人さんの大部分は、前者だし、稀に、純真さなどが売りの平易型の詩で人気の人がいらっしゃいますが、子供嫌いな私はそれには興味わかないんですよね。
0えーん泣 三浦さんは短い詩が嫌いなのですか?短い詩の中には、宇宙が詰まっています。それが分からないと、短歌なども分からないと思います。生意気言ってすみません。 一つの単語、一つの言葉、文章、と繋がっていくのです。 これではまだ伝わらないでしょうか。 そうですね。一つ短歌を書きます。 懐かしさ読み耽るべく読み耽り十六夜(いざよい)の永遠(とわ)に尊し この短歌は私が作ったものです。ここに書かれている言葉の意味の奥深さ、三浦さんなら分かるでしょう? よろしくお願い致します。
0僕が言う立場ではないのかもしれませんが、これ以上三浦さんに絡んでいっても、それはきょこちさんのためにもならないと思いますよ。
1そうでしょうか? 三浦さんは見守って下さってます。 いつも、いつまでも。コメントも読んで下さいます。そして、お優しい返信を下さいます。
0すみません、皆さん、別に慌ててないかと思いますが、落ち着いてください。 私のコメントと三浦さんのコメントは、日本語と全く同様に読み、日本語と全く同様に発音しますが、意味は異なる、固有の言語なんです。
0コメントありがとうございます。この作品は、フィクションでありながらも、私自身の姉と弟であった私自身の何かが出ていても、おかしくない作品です。トビラさんのコメントはその現実と非現実の間にあるであろう何かを、言い当てた、作品に最も関係のあるコメントに思え、レスさせていただきました。
0いすきさん、注釈ありがとうございます。おっしゃる通りのこと、私ももちろん自覚しておりまして、テキストを読む面白さは、お示しのようなところに一番あるように思います。
0(つづく)と来て小説風かなと思いました。詩は他ジャンルを吸収して成長してきたのかもしれません。猫と言う言い方は、子供だから、定型的に猫的な意味を持つと言うニュアンスなのかもしれませんが、単にあだ名と言うニュアンスだけなのかもしれません。
0これは小説の始まりとして書きました。物語詩と呼ばれるカテゴリーがありますが、物語を書くのであれば小説でありたいと思うところです。詩的な小説でありたいですね。コメントありがとうございます。
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