人喰い峠 - B-REVIEW
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人喰い峠    

むかしむかし、イエス・キリストさまは、峠に立っておられました。 絶望のふちにいた人々は、イエス・キリストさまに導かれ、 峠の麓の武陵桃源に参りました。 そんな暮らしを毎日毎日何千人と、イエス・キリストさまは、峠に立っておられました。 いつの間にか、イエス・キリストさまは、それが面倒くさくなりました。 面倒くさくなったので、 希望を求めてやってきた人を峠の頂きに立たせ、 耳元で古い呪文を唱えました。 古い呪文を唱えられた人は、 絶望の中、峠から身を投げました。 自分から身を投げたので、 武陵桃源には行くことができません。 堕ちてく先はコキュートス。 裏切り者の氷の獄。 イエス・キリストさまは、 「また、サタンが邪魔をした」 とだけ呟いて、まいにちまいにち、人々をコキュートスへ落としました。 地獄の釜の底、焼け付くようなコキュートス。 誰も寄せつけない氷の獄。 そこに、物好きなリュウグウノツカイがやって来ました。 リュウグウノツカイは、氷に息を吹きかけました。 ずっとずっと、たくさんたくさん。 肺が凍っても、温かい息をかけつづけました。 ついに氷は全部解けて、私は自由になりました。 リュウグウノツカイは、私を乗せて天に登り、 神竜に会わせてくれました。 私は人喰い峠に戻りました。 イエス・キリストさまは、相変わらず、古い呪文を唱えながら、 自ら神を裏切らせ、 そうして人々を、地獄の底へ突き落としていました。 私はリュウグウノツカイと一緒に、氷を溶かし始めました。 私もリュウグウノツカイになりたかったからです。 たくさんたくさん、息を吹き込みました。 息づいた小さな眷属たちが、 1つの分厚い氷を見つけました。 ふうふう ふうふう ふうふう 力尽きて死んでしまいました。 氷は溶けましたか。 私は貴方のリュウグウノツカイになれましたか。 私の代わりにヤコブ様のハシゴを使ってください。 本物のおひさまが、貴方を温めてくれるでしょう。 もう二度と、人喰い峠に来てはいけませんよ。 あそこには救い主あくまがいますから。 私は人喰い峠に戻ります。 私はリュウグウノツカイの、親になるからです。


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作品データ

コメント数 : 0
P V 数 : 905.1
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2021-11-09
コメント日時 2021-11-09
#現代詩
項目全期間(2025/04/11現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
技巧00
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叙情性00
前衛性00
可読性00
 エンタメ00
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閲覧指数:905.1
2025/04/11 03時19分12秒現在
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