秋は赤ワイン色の蝶ネクタイをして私に傾き
青空のマントを着て
その体を引き寄せ
チークを踊ろうよ
そう口説く
耳にシャリシャリとウグイスの谷渡が
水晶の細いネックレスを谷間に渡し
キラキラ輝きながら横切っていく
窓際の竹林がさわさわと
風に甘く揺れる朝のすがしさよ
その何気ない日常に庭の木の葉が
光の木の葉でびっしりと金色だ
あれにもっとも似ているのはチョコレートかもしれない
そんな風に想念を辿れば
いつもの雲が瞼に自由を語る
自由であることが糸の切れた凧である時
胸に嘆きは巣食い
凧は荒野へ、砂漠へ飛んでいく
かぎ裂きの心臓よ
子供の手が凧を引く心が
”操縦せよ”と囁き
人生の鍵をちらつかせる
私は意志する
そう宣言するのがなじられた不憫な子供や
全ての大人たちであろうから
鬼百合が赤を選び取り
薔薇が様々に咲き
青大将がとぐろをまき
蜜蜂がうなり
人が季節を着て纏うとき
存在は色を発し、形を作り、
心というモーターを毎朝、起動させる
生きることへの情熱で
背負って行こうと
そんな健脚を持ちたいと思う自尊心と
全ての風景を心に刻み
風に頬を撫でられて
気泡する記憶だけを抱いて
ふっと手放す無一物の陽気よ
ただ唇に歌を煙らせて
いつかの恋人の熱狂と
愛の安らかなベッドを思うことの繰り返し
風は興り、立ち消え、
そして再びあの遠い海からも
地を這って救済を焦がれ
ロマネスクの伽藍は扉を伏せて待ち
思いを縫い
心を汲みながら
風は唄い
たどり着くのだ
ほのかに香る風は意志の指
私の夢も風となって
あそこへここへ
どこへでも駆け巡ろう
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 820.1
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2021-10-01
コメント日時 2021-10-01
#現代詩
#縦書き
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2024/11/21 20時46分01秒現在
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チークを踊るという言葉が映えていて綺麗です。久しぶりにこのような詩を読めて嬉しいです。全体も滑らかですが、モーターとロマネスクが、これの映えたチーク、と被って良くない意味で夢々してます。カタカナの考え選びが美しいのは本当ですが、それらを熟語や漢字へねっしてシフトさせても、強い想像は変わらないと思います。
0ありがとうございます。温厚な詩を書けた気がしています。コロナ禍で滅入りがちですから、努めて楽しいことを味わう気持ちにならなきゃね。カタカナ語は嫌いなのですが、避けては通れないですね。エッチに読めたのでしょうか。( ´艸`)
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