それは突然現れた
夜明けの薄闇に壁となり
雪の冠をかぶり
聖なる山は聳え立つ
雪解け水の川の流れ
その水音が胸に響く
もっともっと流れてくれ
その、聖なる流れで全てを忘れさせてくれ
水草が岩陰で密かに揺れる
ここまで来てしまった
帰る場所はどこ
ただ、目の前に
美しすぎる山が聳え立つ
どうすればいいのだ
ここに来て答えが見つかるとでも
思っていたのか
ちいさな思い上がりも
あの空に浮かぶ雪に
砕かれる
凛とした張り詰めた空気を
引き裂くように
水音が鳴り響く
雪解け水
雪解け水
どうしてそんなに
清らかでいられるのか
汚れてしまったこの心も
水の流れで押し流してくれるのか
一輪の花が咲いている
名前は分からない
綺麗だ
名前は分からないけど
とても綺麗だ
まだ、帰ることを許して
もらえるのだろうか
逃げるように去った
あの街
白馬の雪の頂を
もう一度見上げ
胸いっぱいに息をした
大きく息をした
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 883.7
お気に入り数: 2
投票数 : 2
ポイント数 : 27
作成日時 2021-09-17
コメント日時 2021-09-17
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 10 | 10 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 10 | 10 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 7 | 7 |
総合ポイント | 27 | 27 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 10 | 10 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 10 | 10 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 7 | 7 |
総合 | 27 | 27 |
閲覧指数:883.7
2024/11/21 21時04分03秒現在
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壮大な世界観、水の流れ、山々、自然描写が美しいです。 水草が岩陰で密かに揺れる の部分が澄んだ水の表情を表していて素敵です。 タイトルも凛としていて好きです。
1壮大な雪山の美しさ、 それと対比するような名もない花へのまなざし、 過去への執着と、そこから逃れるべく、 大自然と対峙する姿勢が感動的です。 このような経験は、すぐにはわからなくとも、 今をせいいっぱい生きる、ということを積み重ねていくことで、 未来が形作られていくものだと、思いました。 自分の感情と、今と、向き合ううつくしい詩でした。
1安曇野に住んでいるので親近感がわきました。白馬は近いのでよく行きます。素敵な場所です。景色も素晴らしいです。雄大な景色を見ているとわりとみんな近いことを感じるのだなと思いました。
1山や石清水の清冽に対する憧憬は共感致します。 詩を書く場合、美しすぎる山、とか、とても綺麗、は感想だと思うので、詩にする場合は、その美しさをリバイバルするように描写するに徹するといいのではないかなぁ、と思ったり、素朴な詩句に感じたりしました。美しい山、でいいような、美しすぎる山、は奇妙な表現な気がしたのですが、勝手に思ったまま書いてしまって気を悪くなされませんよう。テーマが凄くよいですね。
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