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日常のいとなみのなかに、美を見出せる喜び
米を研ぐ、という ごくありふれた日常のいとなみの描写のなかで、 米研ぎを「二、三繰り返す」から、突然 「これを一生繰り返すこと」に飛躍するところで、ドキリとしますが、 同時に、なないろさんの以前の作品「つくる」が思いだされます。 「つくる」には、下の一節があります。 時に見返りを求めず 永遠と続く営み 作ることは いつまでも 自由だということ 「つくる」は、観念的な作品で、 つくるものの具体的な対象は明示されていませんが、 見返りを求めずに作るという営みは、永遠につづく自由であることが、うたわれています。 本作「米を研ぐ」は具体的な日常をベースにしつつ、 「つくる」と同じテーマが描き出されているという点で、双子のような作品です。 本作において、それを具体的に象徴しているのが、下の一節です。 ザルに米を注ぎ 水を加えて綺麗に研ぐ その光景の美しいこと 日常のいとなみのなかに、美を見出せる喜び、 それは、誰に強制されるでもなく、義務として行われるでもない、 自己の発露としてのいとなみであり、 それを一生繰り返すことは、 生きること、ひいては生きることと切っても切り離せない 仕事というものの本質であることが、あざやかに描き出されています。
日常のいとなみのなかに、美を見出せる喜び ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1057.1
お気に入り数: 2
投票数 : 0
作成日時 2021-09-08
コメント日時 2021-09-08