夏の終わりの雨は涙ぐんだ女みたい
秋雨は頑なな心を解く糸口みたい
寂しさが美しさと木霊して重なる夏の喪失みたい
雨を思う時、私は優しい女みたい
雨に踊る時、心は子供みたい
長靴は懐かしい万能感を思い出させてくれるみたい
雨に涙を見る時、それはきっと世界中が
失恋や敗北、孤独、失意、諦め、
そしてその先の慈悲を頬に受けて雨に濡れ、
きっと人が地の底で絡み合う心の根みたい
みたい、を連発する私は下手糞な詩人みたい
雨を想えば人は皆、詩人みたい
心が世界に捩れて露を発すれば、心は雨みたい
ならばせめて孤独でしかなく、
悲痛な人の心に慈しみを降らせてみたい
私の頭のてっぺんからあなたのつま先までびしょぬれになって
一緒にケラケラと笑ってみたい
仏頂面で雨を眺める君の横顔が見たい
君の沈思が雨に滲んで鼻に匂い、
私は犬みたいに鼻を鳴らして、
舌先に君の孤独と盲目の正義漢の味がみたい
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 1520.5
お気に入り数: 3
投票数 : 2
ポイント数 : 4
作成日時 2021-09-04
コメント日時 2021-09-11
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 4 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
閲覧指数:1520.5
2024/12/04 02時11分53秒現在
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湖湖様 なんて美しい韻律なんでしょうか! これが、詩の音楽と言うものなんですね ... 洗練された詩の言葉で綴られたその雨音は、私の中でどこまでも優しく、あたたかく響いていました。
1詩において「〜みたい」や「〜のような」といった言い回しは明確な意図をもって使うことが重要ではないか、と思っています。湖湖さんの詩では「みたい」が意図的に反復されることによってさまざまな心情があらわれているのと同時に、「みたい」という言葉自体が生々しさを帯びてくるように感じられます。詩のお手本のみたいな作品だ、と思いつつ拝読させていただきました。
2ほめ過ぎですよ。理想はそうですけど。簡単に書いて見ました。
1ありがとうございます。詩を書く方々にコミュニケーションする道具のように、緩く、書いて見たかったんですね。棚の飾りのような詩もいいですが、言葉は人をつなぐために有るので、直接的でわかりやすい、というのも一つ、だと思うんです。
0言葉の使い方がとても素敵な詩ですね 私にとって新鮮な言葉の使い回しもありました。ありがとうございました?
0以前、私の投稿した「雨」に湖湖さんからいただいたコメントのなかの、 「雨は何度も描きたい風物詩ですね」という言葉を思い出しました。 とても優しい詩ですね。 雨はさまざまなものを象徴しますが、この雨は慈しみの雨ですね。 みたいを連発するのは下手糞とありますが、 降りしきる雨の音みたいに、気持ちのいいリズムを醸し出していて好きです。
0ありがとうございます!七五調で古式ゆかしく、韻、バリバリの詩、とかにも憧れます!
1そうですね、ちょっと散漫に付け加えてしまった気がして反省しています。詩は書き手のファンタジーに付き合うことと思えど、簡単で意味がすっと伝わる詩もいいかなぁ、と思っています。
0夏の終わりの雨とあうタイトルですが、この詩から梅雨の時期を思い出しました。熱々のコンクリートが雨に濡れた後の、むわっとする生温かさを感じました。人の温もりとはまた違った言葉ならではの暖かさと言いましょうか、そう言ったものを感じました。好きな詩です。
0今の時期の雨が引き金で、雨一般を語ってしまったので、梅雨に感じられたのかもしれないですね。夏の終わりの雨は惜しむようなしんみりと寂しい感じがあって好きなんですよ。言葉を尽くすと大概いいことがある気がします。ありがとうございます。
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