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残響
太陽の臓は燃え尽きたから 部屋の暗がりで青の球体が萎んでいく 水の滴る音に耳を澄まして、 小さく息を漏らして 見つめている者は誰だろう ここには僕しかいないのに 眩暈が窓を割って散らばる破片 どれかが どれかが そして、雨後に佇む影。崩れた 凝集度を意識する頭の上で 電線たちが交差する 他人は一繋ぎにしか映らない双眼 君のことを考えても井戸へと落ちていく 伸ばした手のひらにかすった血液 真っ暗な穴に懐中電灯を照らしたら 見上げる歪んだ顔の僕と目が合った 炭酸の抜けたジンジャーエール 口に含むと舌に甘味が泥濘んだ ここで朽ちていくのだ一生僕はこうやって 函のなか緩慢な自殺 外界で風に揺れる電線 どこまでも伸びていく君の空路を夢想する 行けよ、僕を捨てていけ ぽつり、と水滴が頬に落ちる音 空には天井。 ここはもう終わりだ 気がつけば洗濯して薄くなった ジーンズの青が水色に変わっている 公園の砂場に掘った穴めがけて 子供がバケツの水を注ぐ 楽しそうな声とともに海が満ちていく つられて笑った僕の胸に眠るかなしみは 僕の井戸だけに響く
残響 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1029.4
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 1
作成日時 2021-09-01
コメント日時 2021-09-21
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 1 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
初めまして。 風景描写が続く中、わりとはっきりと「君」という他者を 意識しているのが印象的でした。 自分の世界に他人の入る余地が無い、 というのは窮屈だからだろうなと思ってしまって、 それだけで読むと人間的に安心感があります。
0凄く好きな詩です。書き出しは特に。 五感が研ぎ澄まされるような気がします。全体に緊張感があって、しかし硬すぎない自然な独白の印象を持ちました。 他の詩も読みたいです。できたら、「君」について語った詩を。
0うっまい!失意の中に感傷の美が残っていて、とても詩的ですね。落胆に夕暮れが重なっているうちは人は浮き上がっていない、そうじゃなきゃ価値ある真実が無くなってしまう、そんな風に思っています。旅をしていて、誰も知り合いもしゃべる人もいなく、風物にも見るところが無い僻地を長時間いたりすると、真空状態の狂気が魔が差す時があるのですが、そういうふうになってはいけないのだ、と感じるものです。気を付けてくださいね。あなたはその手前で佇んでいて人らしい綺麗な詩をかけますね。
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