上野駅の構内を照らしていた蛍光灯は
昼間の賑わいを残像のように残して
やがて夜が来て
蟲ケラのように死んだ
浅草口を出ると
道路沿いの路上に
皺くちゃの身体が
いくらでも連なって
寒さを凌いでいる
ニ本のかぼそい足が
震えていた
今日も路上で
僕たちは眠りにつく
明日を待ってなどいない
薄っすらと闇が広がる
閑散とした市場に
吐息を白く曇らせた
中年の女が
灯りを持って立っている
蟲の群れを待っているのだ
既に光を失ったその目には
祖国の家族だけが映っている
遠い日に父を失った君は
見知らぬ土地で
身を削りながら
立っている
まるで地中で春を待つ草花だ
アスファルトに進路を阻まれ
叫び続けて
やがて誰にも知られることなく
果てるのだろう
そして、その残骸を
蟲が喰らい尽くすのだ
明日を待ってなどいない
作品データ
コメント数 : 1
P V 数 : 964.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 2
作成日時 2021-07-13
コメント日時 2021-07-16
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 1 | 1 |
閲覧指数:964.8
2024/11/21 19時34分09秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
路上生活者の困窮と中年女の白い吐息がなんとも悲しい詩ですね。モチーフはよいと思うのですが、レトリックを用いている部分がやや冗長な印象があります。 もちろん、好まれる詩風次第ではありますが僕の意見としては、たとえば「まるで地中で春を待つ草花だ」などは「それは春待つ草花」のように短く暗喩で切ってしまう方が好みでした。
0