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夜光虫
にじりと汗ばむ夜、砂浜へとやってきた 昼間に海が赤銅色に染まったのを 見た時に既にこうすることを決めていた。 潮の匂いを含む、ねっとりと肌にまとわりつく風に少し辟易しつつ、太陽が支配していた 時間とは違う顔を見せている海面を見つめる 暗い波打ち際、夜光虫ともいわれてるプランクトンが青白く発光して漂っている。 ルシフェラーゼという発光酵素を自らもつ小さな小さな命の灯火、これがみたかったのだ 短く切りすぎた髪、気にいっている。 耳朶のピアスに触れる、揺れる真珠が美しい 今どき数頁の恋愛を失くしたくらいで髪を切るオンナはいない、全て自分の為だ。 それでも、数頁の恋愛を失くして夜に海にひとり出かけるオンナは他にもいるのかもしれない。 いつか見に来ようとの約束を髪を撫でられ交わした、あの頃を。 終わったキャンディーバーの甘さを未練たらしくいつまでもしゃぶっている子供のように探しに来たのではない、そう思いたい。 ぼおっと光を放つ小さな命に慰めを求めに来たのか。何をしても今は心が持って行かれているのだ。しばらくは諦念の中で思い出を貪り続けて、喰らい尽くしてしまえばいい、漂う青い星のように、日々をたゆとうて行こう。それでも沈まぬ命の様に。
夜光虫 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1034.5
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2021-07-08
コメント日時 2021-07-10
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
詩を拝見させて頂きました。 それでも、数頁の恋愛を失くして夜に海にひとり出かけるオンナは他にもいるのかもしれない。 この部分、私も夜に海にひとり出かける女かもしれないと思いました。 自分自身を考える為に。 良い作品をありがとうございました。
1作品を読んでいただきありがとうございます。 自分自身を考える為に、そういう時間が自分を強く前へ押し出せるかもしれませんよね。 ただし、冷静にみる目を持てればですが笑 そんな、人になりたいです。 漂っても沈まぬ夜光虫の様に、迷っても自分の足で歩けるような。
1暗い中でキラキラする星みたいで綺麗でした。
1作品を読んでいただきありがとうございました。
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