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僕がネズミになった話
僕は大きな古いビルの立体駐車場で、停めてある高級車を片っ端から盗んで乗り回し フォードGTを試しに乗りエンジン音が気に入らなくてブガッティーに手をつけようとした途端 警備員が怒鳴りながら馬車みたいに駆け寄ってきた 急いで逃げて螺旋階段をひたすら転がるように降りても警備員は諦めない そこで僕はふと思いつき階段の手すりの間の空間を体を気を付けの姿勢にしてすり抜ければ 一気に一階まで降りれる そうすれば逃げ切ることができると思いつき螺旋階段の手すりの間に飛び込んだ 一体ここが何階なのかも知らずに無我夢中に飛び込み体をまっすぐにピンと伸ばして飛び込んだ 飛び込んだ瞬間想像以上に高くて後悔した もうすぐ地面に足がつき、きっと僕の足は肩くらいまでのめり込んで2頭身くらいになるだろうと覚悟した瞬間に僕はネズミになり いい具合にパン粉をつけてサクサクに揚げられたフライになっていた なぜネズミとわかったかというと、ころもの間から忌々しいピンクのひょろ長い尻尾が出ていたからだ そして一階の地面に激突する瞬間にネズミのコロッケになった僕は皿の上にズドンと落ち 温かいトマトソースを背中にかけられた まるで最高にちょうど良い温度の湯船に使っているような心地良さだった
僕がネズミになった話 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1082.4
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 7
作成日時 2021-07-04
コメント日時 2021-07-06
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 3 | 2 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 7 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.3 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.3 | 0 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 0.7 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 2.3 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
いまのあらゆる世界状況のカクテルの中で まるで孫娘に とっときのビンテージワインをおもちゃにされ 瓶の中に砕けたコルク栓を押し込まれてしまった 泣きっ面の老爺のように嘆息する村上春樹が 孫娘のお気に入りの『トムとジェリー』のアニメを Amazonプライムで 死にたくなるほどリプレイさせられたときに 焼きすぎたハムエッグみたいに 拘縮した感情のまま シュルレアリスティックなストーリーがとっさに その頭の中で英文で走り抜けたのを タイピングで捕らえた文章、その翻訳 だと言われても何も驚かないくらいです 香港人ならいざ知らず 大陸の中国人にすら 都市生活者のあの甘く苦く ほどよく毛布のような倦怠で包まれる 村上春樹文学が絶大に支持されてるようで 日本人のある世代には 遠い憧憬になってしまったあのパスタの味を いま中国人はどんな思い出すするのでしょうか
0最近の鈴木夜道さんのコメント、他の方でもめっちゃ読んでいて、それで爆笑しているんですけども、今回のこちらのコメントを目にするまで本作をスルーしてました(失礼ですみません) それで、読んでみて、まさに、本作は村上春樹的だと思いました。私は村上春樹主義者なので、好評の意味で言っております。
1笑いました。 〈まるで最高にちょうど良い温度の湯船に使っているような心地良さだった〉 これもいいですね。トマトソースは血なのかな?それだとすると、上の引用部分は他にあまり類を見ない血の表現方法だと思いました。
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