何処かで鐘が打ち鳴らされています
ぶらりぶらり熟れすぎた果実みたいな
男が脇を抜けていきます、あれは昨日、
港に水揚げされていなかったろうか
その後を爪の長い女が
ぽたりとあるいていて
亀裂からはいつも水が
したたり足元は湿って
あれが泣いているのか、笑っているのか
わたしにはかいもくわかりやしないのだ
朝市で魚たちの顔を見て歩くと、あゝ、
あの男に似た顔がありほっ、とするのだ
鐘楼にのぼり鐘を打ち鳴らして朝市に向かう
私にしらせやる、あの男とすれ違うところで
地震の後に出来た亀裂から女が這い出てきた
ゆびから垂れた血がぽたりと紙に落ちる
あの時、魚を捌いていてついた傷口が
未だに塞がっていないことに驚くのは
これで何度目だろう、鐘楼から落ちる
ゆびさきからわたしがにげだすように
頬からながれないものがおりとなって
だれもかれもがとらえられないために
わたしは鐘楼にのぼり時を告げるのだ
朝に、昼に、夕にわたしたちは動いているのだと
シーラカンスに餌をやりながら、新しい歌を歌う
のびたつめをきり、放たれた尿のぬくみを祝った
作品データ
コメント数 : 7
P V 数 : 1308.3
お気に入り数: 1
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作成日時 2021-07-02
コメント日時 2021-07-04
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 5 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 3 | 3 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 1 | 1 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 5 | 5 |
閲覧指数:1308.3
2024/11/21 19時52分51秒現在
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所々不思議で現実離れしているのに素朴な実感があり面白いと思いました。 リズムがあり朗読するのも楽しそうで、ことほぎとまじないというタイトルに合っているなと思います
0朗読は意識してますかねー。出来れば念仏みたいに書いてみたいもんですが、そこまで外れられないのはある種の限界なんでしょ。
1主人公の日常を筆者と想像するようで面白いです。歌いながらの古代魚へ餌やりは、きっと楽しいのでやってみたい。
0>ぶらりぶらり熟れすぎた果実みたいな >男が脇を抜けていきます 俊逸な表現だと思います。ここで、鯛でも鮪でもなく、果実とされているところに、「飛躍」を感じさせますし、呪詛ではなくて言祝ぎとお呪い(良い意味での呪詛でない意)の味と青写真があるように思うのです。
0おおいに歌ってください。あなたが好きな歌もぜひ聴きたいものです。わたしは最近、は https://m.youtube.com/watch?v=GIWQVXjAJsU など聴いております。
1もしかしてあなたわたくしが吉岡実リスペクトとわかりましたか。死へと向かい腐敗するとはおよそ果実です。そして吉岡実です。何故、わたしは彼らと同じ時代に生まれなかったのか、不満を感じながら感謝するのです。
0https://music.youtube.com/watch?v=-EX0xJ-Wch8&feature=share を今聴いています。 シーラカンスは、海の歌がいいと怒るかもしれない。
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