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夕立
凌霄の喉がひらいて 一斉に首をもたげる 雲が押し寄せる夕べ 描きさしのスケッチ 黒を含んだ空は重い 更地に立ち込める闇 あなたの腕に抱かれ 未生の夢を見た場所 雨が空間を切り刻む 私の影は闇に馴染み 濡れた髪が喉に絡み 板塀に沁みこんだ影 動き出す後を追えば 私だけ取り残される * 雨脚の間で項垂れる 澄んだ橙色の花びら 震える花の白い奥に 遠雷の生まれる場所 不在を確かめる為に 私は此処に来たのか 雨の中で頬に触れる 私にはさわれない指 引きちぎり踏み拉く 花の痕が散り敷いて ぬかるみに雨が流れ 虹色の油膜の浮いた 水たまりのほとりで 家の跡が滲んでいる ※凌霄花 ノウゼンカズラ
夕立 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 801.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2017-09-29
コメント日時 2017-10-02
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
おはようございます。 雨が降る描写をとても繊細に描かれているのが素敵です。 そして、どこか寂しさを感じるところも、美しいですね。 まりもさんは、絵の勉強もされていて、この詩も一行一行が まるで儚げで美しい絵を鑑賞するようにも読ませていただけて、 こういう詩世界もまた、存在するのだと、まりもさんの詩から新たな興味を 与えてもらっています。
0こんばんわ 揃った文字数と鮮烈な言葉選び。 流石ですね(゚∀゚) おそらく数十分の出来事でも、多くの心情が伺えます。段落ごとにくっきりとシーンの画と、主人公の表情が浮かぶ様でした。 時折みえるあなたの存在の描写も、薄過ぎず濃過ぎず、いいですねぇ。特に終わりかたとして、滲むという言葉で雨ともかけ合わさり、綺麗でした。
0森田拓也さん いろいろと思う事の多い八月でした。街の中に、突然生まれた空白、更地・・・何があったかすら思い出せない、記憶力の乏しさ。なぜかそこに、私が会いに行きたい人が住んでいた、そんな気がしてならないのでした(そう思いたかっただけかもしれません) はねひつじさん ありがとうございます。どちらかというと、文字を揃える、その型の力を使わないと、情景が描けない・・・単語の音が引き出してくれないと、その次に行けない・・・時に、書いた詩です。いろんな思いを、引きちぎってしまいたい、そんな時が、あります。
0闇夜の圧迫感を湿度を含む空間、それも「不在」というものを被写体を変えながら描写していますね。 技術が巧みで勉強になります。
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