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三大へんな植物名の花(三篇からなるオムニバス)
【アカツメグサ】 なりやまないドアホン やぶれた怒号は 親を町ごと殺され震えていた少女のままの老人 おさなくして大人として生きざるをえなかった あなたが 私の玄関を激しく叩く音 そして あなたは 今日もあなたは すべてのものを消毒する 醜いすべての事柄を憎み暴力的に排斥する いまも赤々と噴煙を上げている爪痕は胸の内 あしもとのアカツメクサの つぶらな露が あなたの代わりに泣いている 金木犀が笑いのさざなみを 放ちつづけ それぞれの花々は 花の道をあゆんでいるというのに 【屁糞かずら】 芝生の堤が目の高さにつづき 波のように高低を描いている 点在しているオリーブの銀葉も涼し気に 樹形のすべてが見える真昼 ここは島の学校の校庭だった場所 丘になることで 海岸線も美しく見渡せるはず 潮風ゆらゆらへクソカズラが比べているのは 廃校校舎と うつくしいヨーロッパ風レストラン 江田島は 海軍兵学校の島じゃったけど こんどはオリーブの島になるそうな へへへへ くそはがいいのお わしらあすぐ ぬかれるわ なんじゃあいうてもやっぱしここは わしらあの島じゃ 【どくだみ草】 植物のようにやさしくなりたいけれど 結局 人は人でしか 癒されないから 和の布でできた お花を一輪あげましょう どくだみそうの 白い花 絵に描きやすい形のしろい花 紫がかった緑の あいらしい葉の形 毒と言う名 どくというな 薬だから大事にしろというのではないですよ きょう、 和布でつくられたドクダミ草を あげましょう ただいとおしい形で「 どくというな 」って 言ってます
三大へんな植物名の花(三篇からなるオムニバス) ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 864.5
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 4
作成日時 2017-09-28
コメント日時 2017-10-03
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 4 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
るるりらさん、こんにちは。こちらでははじめまして。 三篇目の「どくというな」がとても好きです。言葉遊びはいろんな用い方があるけれど、ちょっと抑えた感じのこういう用い方はいいなと思います。ついつい過剰になってしまう私は見習わなければ。笑。 それと、二篇目の方言が出てくる部分。これといって方言を持たない私にはとてもうらやましいです。もっと読みたいと思いました。また書いて読ませてくださいね。
0一連目のインパクトがズシンときました。アカツメクサの語感が生む、赤い爪・・・血塗られた爪、傷を掻きむしる指先、のイメージでしょうか。〈あしもとのアカツメクサの つぶらな露が 〉あ、と、つ、の音の連鎖。改めて音を聞くと、つ、という音の持つ引っ掛かり・・・鋭さが印象に残ります。 四行三連という形の整え方が、整理されたものというよりは、自然に生み出されたもののように馴染んでいるのは、行脚を揃えず、自然な呼吸で切って改行しているからかもしれない、と思いました。 へくそかずら・・・たしかに、独特の(カメムシみたいな)臭いがしますが・・・あんな可愛い花に、なんであんな名前が(笑) そういえば、シクラメンを「豚の饅頭」とも呼ぶそうですが、牧野博士が、あまりにそれは気の毒だから、と篝火草、という名前をあてていた・・・気がします(記憶違いかもしれません)。 〈海軍兵学校の島じゃったけど /こんどはオリーブの島になるそうな 〉オリーブは、ノアの箱舟が漂流した後、最初に届けられた希望のしるし。平和と平安の予感、災厄が終わる約束。兵学校からオリーブの島へ・・・今の時代だからこそ、静かに味わいたい一行。 こうだたけみさんも上げておられますが、〈毒と言う名 どくというな 〉ここが面白い。毒と言うな!という禁止にも読めますね。薬にもなるからこその、毒。葉はハート、花は十字型のドクダミ。 〈植物のようにやさしくなりたいけれど 結局 人は人でしか 癒されないから〉そう、ほんとうに、そのとおりです。
0●こうだたけみさま こんにちは。こちらでははじめまして。某即興投稿板も ふたたび参加させていただこうとしているところです。ひかえた感じといえば そうですね。過剰なの書けるときのほうが わたしは のっている時なので、こうだたけみさんが ちょっぴり羨ましいです。 ●まりも さま 【アカツメクサ】を書かなかったら 詩をやめていたかもしれないです。 私は 血塗られた感じのことを想起することは あまりない書き手なのですが、 めずらしく こんなのを書いてみました。 【ヘクソカズラ】 たしかに・・あんな可愛い花なんです。白い小花なんですが、中心は ほんのりピンク。でも 、雑草ですから栄養のない場所に咲くと かわいい花とも感じられないこともあります。 すごく繁殖しのす。 シクラメンを「豚の饅頭」とも呼ぶみたいですね。花屋でパートしたことがあるのですが、本にのっていた通りを 偉そうに紹介したら、お客様が オランダで購入した立派な球根をもってこられました。豚がよろこんで食べそうな 大きくて無骨な格好をした球根でしたよ。 篝火草、というイメージは おもむきがありますよね。女性詩友と ちょっと句をひねりあったことがあります。 【ドクダミ草】 〈毒と言う名 どくというな 〉ここが面白い。毒と言うな!という禁止にも読めますね。薬にもなるからこその、毒。葉はハート、花は十字型のドクダミ。 植物のようにやさしくなりたいです。けれど、 結局はですね。 人は人でしか 癒されないっです。(手は腰っ!)
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