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ボツにして、パソコンのフォルダに「エモい詩」というファイル名で雑に置きっぱなしにしていた詩
ツタの絡んだ老いぼれ牛の 角が枯れ木の戸に突き刺さる 夜の空き家の戸に突き刺さる 角を抜こうともがけども いよいよ足も疲れ果て 命の終わり、悟りけり 白い光が雲間から 老いぼれ牛を明々と 照らす月夜の山の中 人の失せたる村の跡 虚しく鼻息抜け落ちて 乾いた目には涙もなし ただ石のように 大きな石のように 足の力も萎え果てて 巨体沈むも角だけは 戸から抜けずに牛の首 上を向く、顔は神に向う 牛は呟く 牛は祈る 牛は歌う ――I…I’m a lucky cow. Now I’m dying, but…but! My faith is still…still vivid. How beautiful…How beautiful my life is! 月光が牛の魂を拉し去ると 角は静かに戸から抜け落ちた
ボツにして、パソコンのフォルダに「エモい詩」というファイル名で雑に置きっぱなしにしていた詩 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 986.1
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2021-05-27
コメント日時 2021-05-27
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
この牛がもがいてる情景、私てきにはグッとくるものがあるんですよね。牛のもがきが不遇なこと、不器用さのメタとして読んで入ってくる。で、英文で書かれてるのが牛の内面の吐露で、自己肯定感が満載なんですよね。この部分がかっこ書きの日本語だと、その肯定感が違うメッセージになっちゃったような気がするの。なので、私的には英文にしたコントラストの付け方、大変よくできているに思いました。
1コメントありがとうございます。これは去年の秋か冬ごろに書いたものだったと思います。 タイトルにもある通り、僕自身、これはある程度グッとくる、エモい詩なんじゃないかと思ってます。これを狙って書けるようになったので、こういう方向の作品はもうやめることにしたんです。 だって、グッとくる詩を書こうとしてグッとくる詩を書いちゃったら、もう、文学の世界に存在しようとする一人の人間として終わってるじゃないですか。そんなんつまんないと思うんです。世界が閉じちゃうと思うんですよ。 今回は僕が何を良いと思うかじゃなくて、何を良くない(ボツ)と思うかを示すために投稿しました。 僕が一度これを書いたことと、それをボツにしたことにも意味を読んでもらえると嬉しいです。
0ちょっと自分はエモいという感じはしなかったです。すごくコミカルで良かったです。特に英語のセリフで、三点リーダーのあとに律儀に同じ単語を繰り返しているところは牛がかわいいですね。牛の造形がここで確定したので、そこで最初から読み直してみたのですが、二連目のあたりの風景の描写が読めてくるみたいで、タイトルが勿体ないくらいだと思いました。
1コメントありがとうございます。 (たとえばチェーホフの「かもめ」が喜劇であることからも明らかなように)悲劇と喜劇は表裏一体なので、死にゆく牛がコミカルにみえたのであれば、あるいはこれは喜劇的なのかもしれません。そうですね、角が戸に刺さって死んじゃうというのも、どこか間抜けでかわいい牛なのかもしれませんね。 前のコメントでも書きましたが、僕はこの詩を書いたあとで、どうも嫌になって出すのをやめたんです。それはこの詩が、狙って書いたようなあざとさを持っていることとや単線的な物語性に縛られすぎていることによるものです。 加えて、僕はこの手の、このくらいのクオリティの作品なら文字通り「量産」することができると思えたこと、これがこの作品をボツにした最も大きい要因だと思います。 あらためて読んでみても、僕が文学の世界に期待する「思想とイメージで構成されたモードの言語的なコードによる撹乱」とは方向性が違う気がしています。 このようなタイトルで発表することについて葛藤は多少ありましたが、元々何作か書いていたこの手の作品に関しては、何らかの特別な意図がない限りは、今後はなるべく書かないようにしようという自制の意味も込めて今回このタイトルで出すことにしました。
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