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終業
一日、夕礼を終えて エレベータの中で 煙草をくわえて 夜に研ぎ澄ます 「申し訳ございません。五分ほど遅れます」 生命保険の姉ちゃんにメールを送り こつ、こつ、と階段を降りていく くわえる、という祈りは 四角い窓の団地を それぞれの灯りで充たし 私がいない真夜中の道を 階段を エレベーターを それぞれの闇で満たしていく 真昼の公園のベンチでは 赤ん坊が小さな手をひろげながら 母の乳房をくわえ 生きることを、死ぬことを 愛されることを 研ぎ澄ますから フィルターまで燃え尽きた煙草を もう一度くわえ 私は私の夜を研ぎ澄ます
終業 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1159.0
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 5
作成日時 2021-05-13
コメント日時 2021-05-17
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 5 | 5 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.5 | 0.5 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.5 | 0.5 |
総合 | 2.5 | 2.5 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「研ぎ澄ます」という行為に強い思いを感じます、多分誰もが昼の顔と夜の顔を持っているこの詩はONとOFFの切り替えを示しているんじゃないかと思います。
0一読、なんとなく良いと感じて、なぜそう感じるのかと、繰り返し読んでみました。たぶん、詩の正道を行っているからだと思いました。 短い中にいろいろな道具立てがあり、シーンがあり、イメージがありますね。それらがどれも逸脱しそうで逸脱しない、微妙な接着力をもってつながっているように感じました。
0初めまして。こんにちは。 表の顔と裏の顔。 表裏一体の人間の心模様を描いているのかと思いました。 痛烈に「夜を研ぎ澄ます」って響きが私は好みです。日本刀のような鋭利さ。 しかし、日中は母子を見て「愛されることを研ぎ澄ますから」 勝手な憶測ですが、本当は母親に愛されたかったり、懐かしむ心情もあったのかなと。 タバコを吸うような大人の哀愁漂う作品だと、何とも切なくて、だけどピュアな感性も同じくあると思いました。 チョコレートでいうと、カカオ含有量がめちゃめちゃあるやつです。ビタースィート。 ほろ苦く、しかし後味スッキリの作品をありがとうございました(◡ ω ◡)
0>福まる さま コメントありがとうございます。オンとオフもどちらも私ではありつつ、お昼は少し無理して世界との繋がりを求めている気がします。 >yasu.na さま お読みいただきありがとうございます。不勉強なもので、あまり詩論なども読んだことは無いのですが、そんな中で詩の正道という感想をいただいたことに、椅子取りゲームの椅子に滑り込めた感覚がして安堵を覚えました。 >mimi さま 初めまして。ご覧いただきありがとうございます。3歳のころ、落ち葉が掠れる音に怖がっていた時が一番研ぎ澄まされていたなと。煙草は当時の風味は思い出せず、プロセス依存の一つに成り下がっていてお恥ずかしい次第です。チョコレート、私はホワイトが一番好きです(煙草と合うので)
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