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おおきく息を吸って、吐いて、吐いて、吐いて
風にしなる木々の梢のように 私の細胞が揺れてしなるから 世界が廻るように蜜蜂の翅が 鼓動を運んで来てくれるだろう とても静かに命に運ばれていく どこへ?どこへかはわからない 風船が幼な子たちの手から離れ離れ 頭上をよぎってすれ違いを繰り返す そんなことは嘘ばかりじゃないか? 放浪するひとりはもう盲いてしまい なんて呼ばれているかもわからない 樹木の根本で眠りに落ちて、そこかしこ 身体をまさぐる小さな手足や触覚と、抱きあって ひとくさりの生命が解けていくのを夢みた 石が水を切り、そのたびに飛び跳ねるから 私と誰かの声が、足が、手が、呼吸する ひとり立つ朝にはその息が川を流れて どこに行こうかと私と肩を並べている そんなものは嘘ばかりじゃないか なのに虚実と妄執は井戸に 注がれていくカフェ・オレ 入り混じり後戻りはできない 蜜蜂の羽音が敷き詰められた路地を踏みつける 羽音を頼りに肩や脛を擦らせながら歩いていく ひとりひとり、たしかにそこにいる嘘ではない 時がくれば森に入り、川に入り消え入り、離れ離れ、だが 当たり前のようにカフェ・オレを飲み、嘘を吐くのだ おはよう、こんにちは、ありがとうございます、さよなら また会いましょう、楽しかったです、満開の桜が綺麗ですね すみません、眼が疲れてまして目薬をささせてください (葉桜が好きなんです、今日はあなたと話して疲れました。時間の無駄です。もう会いたくありません、もう一度言いますが僕は満開の桜より、葉桜が好きなんです。はやくはやく桜が風に散るころ遠くへいきたいのです) 風にしなる木々の梢のように 私の細胞が揺れてしなるから 世界が廻るように蜜蜂の翅が 鼓動を運んで来て樹木の根本で眠りに落ち そこかしこ身体をまさぐる小さな手足や 触覚と抱きあってひとくさりの生命が ほどけて運ばれていく夢からさめて しまう、折り畳み、綺麗に角をなくしたら 蜂蜜を入れた紅茶を飲みほしてせいめいは 今日も足に運ばれて、おはようございます 深呼吸します、朝に、大きく深呼吸しよう
おおきく息を吸って、吐いて、吐いて、吐いて ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1683.3
お気に入り数: 3
投票数 : 0
ポイント数 : 27
作成日時 2021-04-19
コメント日時 2021-05-23
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 20 | 19 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 0 |
音韻 | 2 | 0 |
構成 | 3 | 1 |
総合ポイント | 27 | 20 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 6.7 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.7 | 0 |
音韻 | 0.7 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 9 | 7 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
静謐。そうですか。もっと飛び跳ねても良かったのかもしれないですね。しかし、どこにいても稀に誰かと同じ空気を吸いたくないような気分になるので、静謐な空間にとけいるような時間を大切にしたいものです。
0ゆっくりと澄んだ言葉たちが蜜蜂のように舞い、澄んだ風に微かに揺れる木々の葉のように幻想的なようでいて、それでいて現実のどこかに触れているような。言葉のひとつひとつを、読み解くことは難しいけれど、絡まり廻る時間や、やがて流れ去る風のような情景を思いました。
0「石が水を切り、そのたびに飛び跳ねるから」 この景色を、絵をよく拾えましたね。 何気ない一節でありながら、いやあ言葉もないです。 その指先の力強さが、もう何を見せられてもいいという気がして。
0当たり前のようにすべては流れさります。それでいい筈なんです。なんでしょうね、生きてたら挨拶して挨拶を返されてたまには世間話をするのだけれど、苦手なんだよなぁ、という気分に書かされたのかもしれません。
1コメントを読みハッとしました。これを書きながらさがしていたのはそれかもしれません。それがはじめの1行であったのかもしれません。
0繊細な表現、読み忘れていたような、読んで居れば絶対投票したと思うのですが、もう間に合わない。三読四読したいと思いました。
0再読して頂けるという事が何よりありがたいです。
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