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ドア
そのドア、二度と開きませんよ。と神様が言った。なんでもどうしてもなかった。でも中に用があるし、生きている間は待ちたいんですけど、と私は慌てて答えた。そんなことをしても二度と開かないから止めた方がいい、と普通は考えなくても分かるのだろうが、自分の応答はいつもそんな風に一拍遅れるから仕方ない。雲にでも、たんぽぽにでも、気付いたら間抜けなことを話しかけている。ノックをする、こじ開ける、他の場所に行く、居眠りするなどの、いくつかの小さな裏切りが頭に浮かんでは消えた。目の前をいろんな人が通り過ぎていった。ドアが開くのを待たなければならないのは誰でもが知っているし、そんな時に口を利く物好きは神様か気狂いだけみたいだった。日本人男性が海外に行くとホモにもてるという話で、自分が笑うのは何故かと聞いたら、神様は何も言わなかった。神様はなんでも正しかったけど、本当は聞くことしかしたくない。気狂いはなんでも間違っているから、言うことしか出来ない。でもいいのだ、人間は聞くことも言うこともしようとしない。雨降ってますか、と私は言った。降ってますよ、と答える声がした。
ドア ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1797.0
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 5
作成日時 2021-04-17
コメント日時 2021-05-13
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 2 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 5 | 4 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 0.7 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.7 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.3 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.7 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
「そのドア、二度と開きませんよ」という神様に対し「私」は「でも中に用があるし」と答える「私」にとっての用って家族に会いたいのか、恋人に会いたいのか、それとも別の理由があるのか、分からないのが面白いと思います
0感想有り難うございます。 それも多分よく考えるとつまらない用でしょう。つい言っちゃったんです。
0もう二度と開かなくても、 いつか開いていた頃のことは忘れられないでしょう。 神様にはその心が理解出来ないんです。きっと。 コメントありがとうございます。
0淡々とした感じが良いですね。
0ありがとうございます。
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