いっぱいにひろがる染みが
背中をびっちりとうめていく
鏡面にうつされたわたしの背中は
すこし、またすこしと、
侵食されていく。
風呂場の鏡に映る自分をみている、
風呂場の鏡に映る自分ははだかで、
風呂場の鏡に映る自分は泡まみれ。
「お姉ちゃんのおっぱいには梅干しが二つあって、そこだけちょっとあかっぽいんだぶつぶつもたくさんあるし噛んだら血がでた」
「お兄ちゃんの頭がおかしくなってもう十年が経つけどあのおちんちんは宇切り落としたほうがいいわだって誰かを襲うようなことがあれば私たちに責任がくるのだもの」
いっぱいにひろがる染みが、
背中をびっちりとうめていく
鏡面にうつされたわたしの背中が
すこし、またすこしと、
いろをもちはじめる。
風呂場の鏡に映る自分をみている、
風呂場の鏡に映る自分ははだかで、
風呂場の鏡に映る自分はひとりきり
「お兄ちゃんもお姉ちゃんもどこかにいっちゃってふたりとも頭がおかしくなっているんだと思うんだけど背中にはいつもふたりがいて私はいつまでもいつまでもいつまでも忘れることができないんじゃないかしら」
いっぱいにひろがる染みは、
人の形をしていた。
ぶさいくな顔をしている。
わたしのほうが、いくらかましだ。
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 1494.0
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 8
作成日時 2021-04-15
コメント日時 2021-05-01
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合ポイント | 8 | 8 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 2 | 2 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 2 | 2 |
総合 | 8 | 8 |
閲覧指数:1494.0
2024/11/21 20時47分51秒現在
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AB様 ありがとうございます!
0背中の刺青は居なくなった兄姉なのでしょうか。 兄姉が頭がおかしくなった、と言いながらその実、狂っているのはわたしなのでは。 もしくは、兄姉など本当はいないのでは。 などと、次から次へとわく想像で背中が少し薄ら寒くなる作品でした。
0鏡に映る自分の姿(背中)と兄・姉の姿が喋り口調で交差しながら描かれていて面白かったです。 兄と姉の人面相的な話になるのでしょうか? 空想は止まらないのでこれ以上は書きませんけれど、非常に読んでいて楽しい作品だと思いました。興味深いです。
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