いつもの時間
いつもの服装で
いつもの歩き方で
散歩をしていると
前方で老人の運転する車が
柔らかな日のあたる縁側で
うとうとと眠りにつくように
ゆっくりとブレーキをかけている
束の間の静寂の後
暗闇の中、一本のろうそくに火をともすように
静かにハザードランプを点灯させ
ハザードランプは
カッチ
カ ッ チ
カ ッ チ と
漸次ゆるやかになり
近い将来誰にも気づかれぬうちに
停止しているだろう
それから
忍びの者より忍ぶ息づかいで
足音ひとつ立てず
そろおり
すろおうもおうに
道沿いの駐車場にバックをしはじめた
この車だけ
一日が二百四十時間に延展されていて
車から発生する磁界の干渉により
私の時間軸も
さすがに十倍とはいかないが
三十二時間ぐらいには
引き延ばされた気持ちになって
なにやら普段なら目にも留まらないような
道端の花や草などを
写真に撮ってしまうのだ
作品データ
コメント数 : 2
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作成日時 2021-04-13
コメント日時 2021-04-24
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
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2024/11/22 00時47分48秒現在
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「いつもと同じ」から始まるのに、老人の車がゆっくりだったからいつもと違うことをしてしまう。きっと素晴らしくうららかな日だったのではないかしらと思いました。この日常のなかの異常の度合いが特殊すぎず、絶妙で良いと思いました。
0コメントをいただきありがとうございました。 日常のなかのちょっとしたことを詩にするのが好きなので、 それが伝わってよかったです。 ありがとうございました。
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