「君の原色を見せてよ」
僕の指はまだ未分化で
手のひらは楕円のパステル調の可変性
きみの指はもう分かたれていて
親指はステンレスをあてがわれ
《ありがとう》が刻印されている
人さし指は木炭で形成され
《ごめんなさい》に分類される
中指は蝋があつかわれ
《はじめまして》と放射している
薬指はポリエステルで編まれ
《さよなら》へ純化する
小指は塩でかためられ
《おはよう》を固定する
僕の右の手のひらに
きみの左の手のひらを合わせる
「君はそうなんだね」
きみは僕の手のひらを両手で包み
指のすきまから息をふきこむ
うごうごと
きみの手のなかでうごうごと
律動する僕の未分化の手
──あ
──い
──う
──え
──お
ふってくる母音を
左の手のひらでうけとめ
(子音は爪がないから透過していく)
山吹色の波紋が走りぬければ
朝焼けに焦がれた焼死体の
幸福な匂いが平原にみちる
黒いフードのなかで銀色の虹彩が色づき
言葉になれなかっかた指の眠る墓場
うけつがれてきた笛を持つ墓守はきみ
きみの手のひらからはなれた
僕の手のひらは
コールタールにひたしても
根源の光を模したい
指の一本一本に命題をしるして
予感が点線を打っていく
作品データ
コメント数 : 2
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作成日時 2021-03-22
コメント日時 2021-03-22
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/04現在) | 投稿後10日間 |
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2024/12/04 02時21分49秒現在
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2年くらい前に現代詩手帖に投稿して掲載されなかった詩です。
0さらに自コメで申し訳ないのですが、詩誌投稿企画とか考えていて、詳細はフォーラムに書いたので、フォーラムの方も一度見ていただけるとうれしいです。
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