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試験―α
先ず、 死を崇高にするものが理性ならば、狂人、とりわけわたしの穢れ果てた狡猾性は、 最も崇高より懸け離れている――。なぜならば狂気は、生涯無き生涯、死無き死を恍惚する営為にひとしいからである。 彼等、そしてわたし特有の、矮小且つ愚鈍な長広舌を仕留めるには、一撃の喝采に潜ませた皮肉で充分だった。 それは黒壇の薔薇で出来ていて、純金の鎖で以て縁を飾り、見世物小屋の天幕に吊るされている、一枚の証明写真だ。 貧相な顔をしたその写真の男は、男娼であり、電球に曝された化粧気の抜けた顔からは花の灯りを透かしていた。 唾棄された聖骸布は、唾液と精液塗れの彼等の末期を、一筋の曙光に降る菫の階段に差し掛けていた。 誰もが奴隷であり、誰もが諸侯であるとも言えようか。死と謂う結実を依然として視ることのない燦然たる遊技場であるこの社交場に於いて。 今正に、同衾せんとする逞しい二つの諸腕が死を差し挟み、その真円の鍍金盤を蔓薔薇の様に縁取っていた。 人体と謂う装飾、または標本と謂う肉声。手術刀に切刻まれた鏤刻の様に、頑として静謐に死の容を湛えた骨格は、 真に純粋と呼び得るもので有ったと、思い出し、そして皆、忘れる。 処刑後、歿した男娼の墓には残酷な菫色の喉。わたしも何時かその喉を扼されるだろう。言葉の花々によって。
試験―α ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1296.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 1
作成日時 2021-03-03
コメント日時 2021-03-08
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 1 | 1 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1 | 1 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
ただただ読みづらいです。生々しい単語を多用しているのも下品ですね
0男媚という言葉を初めて知りました。正直わからない言葉が多く有ったのですが、想像として言葉の花々とはいい争いとか悪口を思い浮かべました。あと、「色」の使い方が良かったです。
0ライ麦様へ。コメントを賜り嬉しく存じます。 ライ麦様は、凡そ文学の為し得る処の真髄を理解していらっしゃらないのだと、お見受けを致しました。
0福まる様へ。悪文を褒めて下さり、嬉しく存じます。 色彩は崇高に、人物は不品行に。落差のみに生じる文体美を試行し、したためさせて頂きました。
0こんにちは。まず色の表現がとても格調高く、古い羊皮紙に書かれた詩のように感じました。これによって登場人物たちの行いが鮮やかにみえて行いの悪さが濁ってみえない、輝く闇とはまさにこの事だと思います。素敵な作品をありがとうございました。
0泊瀬様へ。 称讃を賜り、嬉しく存じます。
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