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ただライスを掬って
スプーンと皿の当たる音が 静寂の中でカンカンと響き 咀嚼音と真空が混ざり合って 闇に飲み込まれる時間 目の前のスープは熱を失い 私はその蒸気を食らうのです あらゆる世界がそのトキに 集約されていて、濃密で満たされている 塩分を垂れ流すだけのその行為に 誰が何といって、貴方を慰めるのか 月を眺めて綺麗ねと隣人に詩を贈るのか 何も知るすべのない世界では 丸太を抱いて眠るだけなのだ 恐れも痛みもない世界なのに 記憶の中のささくれと戦っているらしい いま、カンカンと いまもかんかんと
ただライスを掬って ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1067.9
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 2
作成日時 2021-01-28
コメント日時 2021-01-30
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 2 | 2 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
スプーンの音がひとりの食事、恐らくは深夜の静けさに響いてくるのが伝わってきます。その音にすべてを集約させるラストはカタカナが実際の音で、その音が語り手の中に入り記憶のささくれに響いているのを表しているのかと考えました。ただひとつ気になったのが、スプーンと皿の当たる音、材質にもよるんだけど荒々しく食べてもカンカン、となるかなぁ、と引っかかりを覚えてしまいました。意図的に皿を叩いているならわかるのですが。でもいい作品だと思います。深夜に寒風に晒されながらバイト中に飯をひとりで食べた事を思い出しました。
1登場人物の世界では死は無いのでしょうか?恐れも痛みもない世界ということばでそう思いました詩自体は軽快のようでいて一抹の寂しさもあるように感じ何度も読み返しました
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