蒼白いその明けの明星よりも
もっと冷たいこころを海に向ける
うちよせる白波を見ながら
水の糸で冬のセーターを編むことを考える
波間に小さな竜巻が立って霧がさっと晴れた
流れる潮の黒き波たちは言う
(泡でできたきらめく真珠の波
おまえたちが生れるということ)
海藻がうちあげられた引き潮の浜辺を歩く
立ち止まったときに現れた四羽の白鳥がわたしに言う
(死んでから紅蓮の地獄に生まれた)
(あのひとは鹿の毛皮)
(おまえに死をくれた)
(足のない凍えた歳月)
十番目の天使がラッパを吹くとき
その甘美な調べのなかで布は織られる
沈んでいく死は時間と呼ばれ
緑の世界から心臓の鼓動が届く
友人のヨットに乗せてもらい
野生のイルカが船のすぐ脇を行き過ぎるのを見た
船は風で大きく傾き前に進む
話すこともなかった
陽を浴びて風に吹かれた
荒れ放題のヨットハーバーに散乱する合成樹脂板と木片
焦げて炭化した木片があった
コンクリートブロックにこすりつけて
波の呼び声を聴いた
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 1291.8
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 3
作成日時 2021-01-26
コメント日時 2021-01-29
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 2 | 2 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 3 | 3 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.5 | 0.5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 1.5 | 1.5 |
閲覧指数:1291.8
2024/11/21 19時34分27秒現在
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自然破壊が題材だとおもいますがこの登場人物は感受性豊かだなとおもいました
0お読みくださりありがとうございます。 自然破壊ですか。意外な感想でした。 感受性については、がんばって書きました。
0最終連のヨットハーバーに佇み時間を越えてもの想いに耽る姿がみえるようです。過ぎた時間への郷愁と生や死への思いが交差して染み入るものがありました。木片焼き、というタイトルが派手さはないがいい味を出しているとかんじました。
0お読みくださりありがとうございます。 まだまた拙い詩ですが、お褒めいただき感謝します。 良い作品が書けるよう努力を続けます。
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