吸い込んだ綿雲にむせ返ると
白い大波がクジラの唄で押し寄せてくる
よる瀬もなく極寒と濫流の雷嵐に溺れながら
かじかんだ手で太陽を求め、北極星を探した
そして、
雲海を突き抜ける鉄階段
に、流れ着いた
下れば、階段は濃霧に断ち切れ
鉄骨から滴る赤が雲に蒔絵し、
上がれば、星の鍾乳洞から砂金が垂れ
無限の真空に窒息する
見れば、
雲海に踊り子たち
肌の蒸気が揺れる髪に結露し、日を受け乱舞する
踏み出すごとに雲はガラスに結晶し
跳躍するごとに砕け、虹色に鳴き落ちる
晴れた野原の笑い声は光彩陸離の天気雨
喉の乾きにあえいだ、
流氷を鋳出し
雲海を削り
流星を接いだ
天上に、白亜の港
直線と円が交錯する、理上の柱状結晶
碁盤の目に星座が写し取られ、
打ち寄せる波雲に螺鈿が滲む
鏡色の雨を喉に映そう
玉虫飛び交うあの野原へ漕ぎ出でる、
踊り子の水晶から日の一閃が射す
舳先から手を伸ばした
瞬間、肉の器は陽炎に昇華し、
琥珀の骨は雲海に水葬される
作品データ
コメント数 : 7
P V 数 : 1493.3
お気に入り数: 3
投票数 : 1
ポイント数 : 6
作成日時 2021-01-15
コメント日時 2021-01-24
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 2 | 2 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 0 |
総合ポイント | 6 | 5 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 0.3 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0.7 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0.7 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0.3 | 0 |
総合 | 2 | 1 |
閲覧指数:1493.3
2024/11/21 19時50分34秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
全編にわたって試行錯誤して比喩を用いたことがよくわかります。おかげさまで様子がありありと浮かんできました。 読者の解釈に一任するような作りではなく、筆者の思い描く景色を間違いなく汲み取れるように作られているところがとても好みであり、答え合わせをするような感覚が持てるのでありがたいです。
0みやびさんありがとうございます、実はコメントを読んで(しまった作り込みすぎた)と思いました。この詩は2週間寝かしておいて、ちまちま手入れをして作ったんですよね。 しかしそんだけ伝えたいイメージが自分にあったんだなぁと感慨深く、またそれを汲み取っていただけたとのこと嬉しいです。
0冷えて凛とした空気や、光がきらめく情景が見えてとても美しい詩だと感じました。 映像のカット切り替えのような視点の変化によって、幻想的なのに臨場感が生まれ、描かれている世界へ没入していく感覚が心地よかったです。
0薄原ものさん、空気感を堪能していただけたようでとても嬉しいです。場面の転換が、うまく作品中への誘導として機能してくれたのは発見です、ご指摘ありがとうございます。
0蛾兆ボルカさん、ありがとうございます。書いてるときはあまり意識しませんでしたが、客観的一人称?自分を一歩引いて見るみたいな感じでしょうか。 天気の子、私も好きです、雲の情景などは映画が混じってるかもしれません。
1私にとって難しい漢字が多かったのですが でも漢字の使い方が上手かったように感じます
0福まるさん、コメントありがとうございます。 私もちゃんと意味を分かった上で使っているというよりは、語感で選んでいます。また、発音だけ思い浮かんで、そこにうまく合う感じがないか探すこともあります。 漢字に頼りすぎている作風かなどうかな、と悩みどころです。
0