別枠表示
ペニス、チョコレート、ハグ、あと接続詞
●『温泉の比喩』というぐうわ 森の奥深くに温泉が湧いていて、猿や鹿はよく浸かっていた。ダクダクの源泉で、色んなミネラルやらもたっぷりで、とりあえず皮膚や毛髪や粘膜を持つ生物にとって「気持ちのいい」エキスが湧いていたわけだ。 森の奥深くとは言ったがそこまで深くはなく、道から外れて森に入ればすぐに匂いがしたし、動物共の「ふゥ〜〜(極楽○)」やら「生き返りますなあぁ(上昇↑↑)」等のたぎる感嘆が聞こえてきもしたので、やっぱりほんの少し舗装道から外れて、自分の感覚を信じて数歩、歩きさえすれば、この温泉には誰でも容易に辿り着けるのだった。 源泉を吹き上げる噴出孔からさかのぼり、どれほどマントルそしてコアへと深く潜っていくかというハードコアな営みはさておき、とりあえず本当に、ちょっとした決意と手探りで、この温泉には誰でも辿り着くことができる。 (無為に porn な表現をするなら、そいつは気のいい娼婦みたいにいつでも股を開いていて、しかも潮吹きベースで生きていた。俺らはそこから生まれてめちゃ美味いわけだ。(でも実際は porn でなく soul なので、嫌味も塩味も全然ない。))(ちなみに猿や鹿にはそんなハードコアは流行らない、というより流行りようがない。彼らの神経はそれに対応していない。対応しなかったし、対応する必要もない。対応する必要なんてあり得ない。) それで猿や鹿に混じって、よく人間もちらほらと温泉に浸かりに来る。それで「整いました○○」やら「よくわかった◎」やらと嘆息を漏らして去っていく。動物共はそれをじっと見ている。猿や鹿に温泉の楽しみ方をぼそぼそと教えてもらう人もいたし、自分の身体で一人きり、色々やって愉しんでいく人もあった。確かにたまに、潜ってそのまま消えてしまう人もいた。そういう人は本当は人でもなかったから消えても誰も気がつかなかった。 とかくここには楽しみと愉しみしかなかった。のだけれど、人間は常にちらほらとしか来なかった。これは結構不思議なことだった。だから一度でもそこに浸かった人間は、街に戻れば「最高だぜえ◉」と言い触らすのだが、殆どの人は「そんなことないない#」やら「そんなものないない#」とムカついたり怒ったりした。その二つが両立する謎も謎だが、「最高だぜえ◉」って言ってるだけなのに謎に「理屈っぽい↓↓」と言われたりする謎さえあった。 「 本当だよ!あの森にちょっと入ってさ、道から数歩外れれば、匂ってくるでしょう!聴こえてくるでしょう!だからも少し進めば視えてきて、もうあとは入るだけだからさ!入場料もタオルもねえよ要らねえよ!ほんとぶち込むだけだよ!ほんとほんと!うわああったけえ!!! 」 こんな正直な宣言はいつも回り回ってネガキャン(実在しねえキャンペーン)にしかならなかった。「ある」が「ない」に瞬時変換されるのはまじ不可思議不思議だった。そんなもやもやを解消しようと浸かりに行ったこともしばしばだが、これについては全然整わなかった。どれだけ浸かっても「まじわからん↑↑」っていうのが落ちだった。「でもいいやあ→→全然いいやああ←←」って気分にもなれば肉体が解けて、いつもよりマントルを深く潜れることもあったが、基本的に謎としてしこりにしこっていた。 たぶんこの謎の本質は、身体感覚、より包括的には実感を、言葉で伝達し切ることはどうしてこんなに不可能で、それ以上に不毛なんだろうか。「最高だぜえ◉」が「理屈っぽい↓↓」になるメカニズムって何なんだろうか。一体何をそんな、あいつら恐れているのぉまじでなんなのぉ(泣)ってことだった。黙ってやれよお前ら少なくとも幸せになりてええんだろってことだった。 これで涙を流したりしちゃうと最高に賢者タイムで、そんなときにはマントルを二枚三枚ぶち抜けたりする。でもそれもあんまり意味がない。まじで意味がないかはコアまで貫いてみないと分からんはずだが、コアを貫き直進すればまたマントルを被りまくることになるし、そこから地上を目指すのも正直めんどくさい。本当に嫌になる。だからこのまま死んでしまいたい。 でも、ガンガンバコバコ工事の音がするから目を覚まさざるおえない。いやねここからがドライブだけど、気がつくとサマーランドができてるってわけよ。 これが最たる不思議なのだがサマーランドができている。温泉の上に聖墳墓教会みたいに。それで人がめっちゃ来てる。森はひらかれ動物共はもういない。しかも自分でも試しに入ってみるとさ、分かるんだけどこれはもうあのエキスではない。かなり水増しされてるっていうか水でしかないっていうか水でもなくてほぼ言葉なわけですよ。 おぅいおいおいおいおい。っておーいいいいいぃぃぃ。おんまえお前ぇぇぇぇ。俺/私/僕があんなに言葉で伝達しようと、四苦八苦パックリダラダラしたあれをさぁぁぁぁぁ、言葉だらけの言葉パズルにしちゃったよ!!! Q:「マインドォォォぉぉぉぉ」っと言えば? A:「フルネスッッッ」→ 気持ちがいい ↑ だとかプラナリアばりのミクロパズルにしちゃって!!!しかも景品が白砂糖だって!!!なんとな!!!なんとやら!!!(ちな温泉エキスと噴出孔は歴史の教科書に載った。「温泉エキス」と「噴出孔」って。) おい鹿よ猿よお前らの肛門の方があったかくてぬるぬるして人間だったなあ。ほんとにあれは懐かしいよお。ここにあるのはもうさあ、サマーランドでほんとに寒くて、ハワイにグアム経由で逃げるしかねえなあぁ。そんでハワイを植民地にしてさあ、人間の流血を濾過して温泉を錬金しちゃうからさああああ、一緒に気合で穴ほろうぜ!!!そこからまたマントルコアにつなげればいいんだよ!!ねっっっっっ!そうしよ! ということで私はハワイで遺伝子物理社会工学に基づく新種の新手法的サトウキビ栽培を志す粘土を募集するために、3Dプリンターで3cmも分厚い広告を刷りまくりながら、それをその厚さのまま載っけてくれるオンライン広告事業者を地方創生に探しまくり、大事なことだがその一方で、猿語と鹿語でパンセクシャルな馬鹿募集のポスターを一句詠みまくったのだ。 そして今に至る。 今、私は美味い生肉を喰っている。多分牛肉で、ぶっといワンスライス。私の実家にまだ残る私の部屋の窓際に、父親が「これちょっとさ」と言って置いていったでかい生肉丸太。胡椒と岩塩と荒縄で縛り上げられ、東から降り注ぐ陽光に身を晒している。 牛さんの太ももからくり抜かれた赤身のペニスを、スイスアーミーでスライスしてワンスライス、「ああこれペニスじゃねえわ」と舌鼓を打つ。海綿体のジュルジュルよりグチュグチュに美味い筋肉。歯で潰し切りながら食感は無限にブチブチして、一音一音が血の甘みをおすそ分けしてくれる。こいつは最高のおせちですわ。 だから私はもう帰る。やることやったし満足で、サマーランドにゃ耐えられない。 ねえサマーランド。 ねえどうして、その生肉丸太を置きに来た時にあなた、床に座ってマントルぶち抜いている私に、「何やってんだか#」って1.5回くらい言ったんですか? ねえどうして、嗅ぎつけるようにして私の居場所を選んで、あなたっていつも「そんなことないない#」って1.5回くらい言い捨てていくんですか? どうしてあなたって、姿形を変えてこの世の中に、蛆虫みたいに湧いてくるのですか?それとも空気なのですか? 何を嗅ぎつけているんですか?本当は聴こえているんですか?自分の心に何が湧いているのか、知っていてそれを見せつけてくるんですか? 一つ明らかなのは、実感のない者は実感を恐れ、恐怖が実感を遠のかせ、距離が恐怖の対象を見えなくし、恐怖が言葉でその距離を埋めようとする。でもいつまでも辿り着かない。言葉の橋は脆いから。そうでしょサマーランド。不満足の瓦礫の上に正座して、みえない実感に恐れおののいているんでしょう。あ、今、言葉の盾が生まれたね。また一枚お尻の下に敷いてさ、頭を垂れておいでよ。頭の上から実感をさ、びちゃびちゃにぶっかけてあげたいんだ!! あなた方は今夜ローストビーフを食べる。中まで火が通って食感は均一だ。 まじうまいのは知ってる。ドッグフードはないけど、キャットフードだって食べたことあるから知ってる。豚の餌だってうまいよ。うまく作ってあるから。豚の寝床は気持ちいいよ。そのためのものだもの。昔の記憶は温かいよ。 だからって今、豚の魂までおすそ分けしないでくれよ。 俺は自律した家畜じゃないから そうなれなくてごめんなさい これを吐き出さなければ年越しできない気がした それに豚は清潔で優しい動物だ 悪であるのはただ一点、家畜として自律していること そのために集まっていること ●以上のぐうわを短くすると 本当に私は、みんなが何を言っているのか全然分かってなくて、本当にペニスとチョコレートとハグと接続詞にしか聴こえなくて、 チョコレートだからペニスされどハグ、加えてペニスがチョコレートとしてハグをペニスして、よってペニスチョコレートハグチョコレート。 ペニス? チョコレート? それともハグ? そんな人間らしさのない文章と音楽だけが記憶に残る 完全なゲシュタルトはまた綻びを含んでいて そこから世界が裏返ってくる これに付き合うのは痛くて辛くて悲しくて 時たま普通に涙が出る こんな涙はザーメンみたいに頬をつたって ぺろりと舐めると最高にうまい 俺という情報が俺を喰い物にして変異していく 無限のループはどこかしら揺らぎながら動いていくが その蠢きさえよく観れば核酸に描いてある だけど観ちゃうとカチリカチャカチャ動いちゃうから やっぱりどこへ行くかなんて分かんない これを自由と呼ぶかはその人次第 俺はただ気持ちがいい ●本日の予定 かえる
ペニス、チョコレート、ハグ、あと接続詞 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 845.8
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 6
作成日時 2020-12-31
コメント日時 2021-01-01
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合ポイント | 6 | 6 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 1 | 1 |
総合 | 6 | 6 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
俺は自律した家畜じゃないから そうなれなくてごめんなさい ってところがとくに共感されました。
0