ネットが繋がらず
本さえも燃やした部屋では
誰も寄る辺がない
テレビが雑音に塗れ
スマホを落とした場所では
誰も寄る辺がない
いつかは多くを知っていた脳も
AIに置き換えられ
増えもせず減りもしない
体も心も削られたあとには
酔いの残り香が漂うだけ
誰かが君のことを話していたはずなのに
君は素知らぬ顔をしてしまった
朝目が覚めて人々が遠ざかり
ヘッドホンの音が落ちる時
お前は喪失が怖いのか
お前は失うのが怖いのか
コードが絡み合い
オイルも尽きた後に
巨兵は赤子を食らって平然としている
昨日君が零したソースは
元は不老長寿の妙薬だった
昨日君が捨てたレシートも
元は不死鳥の羽根だった
少しずつ死が近づき
少しずつ生が崩れるまで
君はしがみ すがり続ける
月経の周期が乱れ
精巣の秩序も乱れる頃
私は君に
大事なことを話そうか
大事なことを話そうか
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 1816.4
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 37
作成日時 2020-12-27
コメント日時 2020-12-29
#現代詩
#画像
#縦書き
項目 | 全期間(2024/11/21現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 10 | 10 |
前衛性 | 2 | 2 |
可読性 | 4 | 4 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 10 | 10 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 10 | 10 |
総合ポイント | 37 | 37 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 5 | 5 |
前衛性 | 1 | 1 |
可読性 | 2 | 2 |
エンタメ | 0.5 | 0.5 |
技巧 | 5 | 5 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 5 | 5 |
総合 | 18.5 | 18.5 |
閲覧指数:1816.4
2024/11/21 20時43分15秒現在
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最後の「その時」というのに何か時間があるのでしょうか?間を置いて、話させて頂きます。一連の長い不幸が小事から出来ていて、それを話すことに失った信用の事を円滑して考え直せます。振り向いて詩を繰り返すと、いつでも残ってくれている言葉は、重く私は握りしめました。敵が来ないよう、視界を開けたまま、一連の光を握りしめるのだかいまからでも、忘れてはならない「眠り」がよぎって一歩が踏み出せません。
0情報も何もない場所で、不老不死の素を失った絶望的な君が浮き彫りになっていてとても印象的です。 大事なことを話そうかという台詞だけが、死に近づく「君」を救っていて、喪失感、失くすことの怖さをまぎらわせてる気がします。 その原因は、 >誰かが君のことを話していたはずなのに >君は素知らぬ顔をしてしまった ここにあるのかなと感じています。わたしも似たような経験があり、大切なものを無くしたことがあるからです。 >昨日君が零したソースは >元は不老長寿の妙薬だった >昨日君が捨てたレシートも >元は不死鳥の羽根だった 簡単に捨ててしまったものがとても大切な命だったこと、死んでからではわからないのだということが身に染みました。私は自殺未遂をたくさんしてきた人間なので、この詩が心を浄化してくれる気がします。 >月経の周期が乱れ >精巣の秩序も乱れる頃 生命が芽生える瞬間が途切れる表現。。ここの表現が好きです
てんまさん初めまして、コメントありがとうございます!この詩は一つのガラス細工の置き物のようにあるいは小さな静物画のように鑑賞するだけで奥深い充足を得られることを目指したものです。不死鳥とか不老長寿とか比較的意味合いが大きめな言葉を使っていながら、最後の「大事なことを話そうか」の繰り返しで優しく、しかし日常から深遠な場所へ連れ出すことに成功したと自分ではとても満足しています。シュールリアリストの画家ダリが描き、その妻ガラが愛した一枚の静物画、パン籠に置かれたパンの絵があるのですが、その絵は妙に荘厳でもなく、勇壮でもないにも関わらず雄弁なのです。僕はこの詩もそのような作品だと思っています。てんまさんの感想を読むにつけ読み手を小さなところから大きな場所へと連れ出せたのではないかと、自分自身納得もし、充足もしました。ありがとうございました。
0つつみさん、コメントありがとうございます!仰る通り「素知らぬ顔をしてしまった」この表現が大きな鍵であり、変調をもたらすためのエッジにもなっています。僕は厭世的な表現を好んでよく使うのですが、この詩においてはその志向、ベクトルが「君」にとって損失、仇となったという描き方になっています。これは僕が一人の人間として成長したしたのか、変化したのかそれは分かりません。ただ言えるのは生命、生きることの奥深さについて語るに足る視点を僕自身が最近持ち得たということでしょう。最後の繰り返し、タイトルにもなっている「大事なことを話そうか」は日常でも神話でもない別の次元へと大袈裟ではなく、読み手を連れ出せたのではないかと僕個人としては満足しています。生命とは、人間の体とは遺伝子、DNAを運び伝達するための容器に過ぎないという言葉を引き合いに出せば、感受が鋭くまたこの詩の構造を綺麗に読み解いているつつみさんなら、今作の意図したところを、多くを語らずとも理解し共鳴していただけると僕は信じてやみません。あらためてありがとうございました。
1ロマンティックさが素直に書けている作品で好ましく思いました。私なんかはご存知の通り、拗らせていますので字面通りに受け取ったり、自己の感情をあるがままには書けない。おそらくは私まで歪んでいなくとも斜めから物事をみる人は多くいて、ロマンティックという思念に嫌悪される方がいらっしゃるかもしれません。それからすれば見事な反骨の表現にも本作品はなっているようにも私は思います。投票させていただきます。
3みうらさん、コメントありがとうございます!そうなんですよね。ネット詩が詩誌や商業的なフレーズのカウンターとして存在している以上、その類の嫌悪や批評眼がこの作品に向けられることは充分にあり得ると思っています。でもこれはパラドックスなのですがネット詩自体の価値観が斜め上の着想で作られているとすれば、僕の詩はみうらさんが仰る通り反骨の表現になるんですよね。ですから僕はこれからも詩誌に対するアンチかネット詩へ向けてのアンチかなどには拘らず、自分自身が書きたいもの書き、読みたいものを書くでしょう。それが期せずして反骨になるとは不思議なものですね。投票ありがとうございました。
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