脳と宝石 - B-REVIEW
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脳と宝石    

 やさしい言葉を集めて  ネットオークションに出す日々  うんと遠くに住む  友達に、手紙を出すために  お金がたくさん欲しかった  がらんどうとした交差点では  含み笑いをするように  ひかりが質量を得ては捨てて  信号のまわり、ほらそこ  空間が滲んでいる  の、冷たい手をしているくせに  君の愛情が私に肉体を与えている  命から遠ざかっていけば  指先から透明になって   いつか、脳は宝石のように  美しいものへと変われたはずなのに


脳と宝石 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 1
P V 数 : 1399.9
お気に入り数: 0
投票数   : 0
ポイント数 : 0

作成日時 2020-12-15
コメント日時 2020-12-19
#現代詩
項目全期間(2025/04/11現在)投稿後10日間
叙情性00
前衛性00
可読性00
エンタメ00
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閲覧指数:1399.9
2025/04/11 06時26分56秒現在
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    作品に書かれた推薦文

脳と宝石 コメントセクション

コメント数(1)
なかたつ
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(2020-12-19)

 久々にお名前を拝見したので、思わず読んでしまいました。  「やさしい言葉を集めて/ネットオークションに出す日々」って、さらりと書かれているんですが、実におもしろいなあと。原因と結果、どちらがどちらなのか、ということで言いますと、「ネットオークションに出す」ため、戦略的にやさしい言葉を集めているのか、それとも、「やさしい言葉」が集まったから、「ネットオークション」に出したのか。後者だったとしても、なぜ「ネットオークション」という場所にしたのか。「ネットオークション」という場所の性質を更にとらえると、これは売りに出されているということで、「やさしい言葉」に対して、金銭を受け取るということが発生することでもあって、うーん、この2行だけでも、ものすごく想像が拡がります。  よくよく見たら、やはり後で説明されていました。「友達に、手紙を出すために/お金がたくさん欲しかった」という真の目的が。やはり、友達に手紙を出すためのお金を得るための手段としての2行だったのです。ネットオークション自体もまた「うんと遠くに住む」人とやり取りが発生するかもしれないということを考えると、対照的に見えてきます。  と、ここまではよかったのですが、急に世界観が変わります。最初は率直に欲望が示されている(心情描写)のですが、映像・世界が拡がっていきます(情景描写)。  その情景に色を与えるのが「ひかり」の役割ではあるのですが、「ひかり」は私たちの思い通りになるものではないですから、人間の意志などというものをよそにして、「含み笑い」をしているようにも思えます。「信号」もまた色のついた「ひかり」を放つのですが、そのことによってやはり世界は色づき、「空間が滲」むのですが、やはり、急に場面展開。  一行と一行のスピードが一定ではなく、改行を均一的に読んでしまうとはまってしまいますね。いきなり、「冷たい手」が出ることによって、語り手/読み手のフォーカスがずらされます。「冷たい手をしているくせに」というのは、君の手なのでしょう、つまり、君の体の一部です。そして、語り手の体を体たらしめるのが「君の愛情」であります。  「命から遠ざかっていけば」という何気ない1行が何だか意味深な気もするのですが、これは、君と私との命の距離、つまり、身体的な距離を述べているような気がしています。そうすると、私は「君の愛情」からをも遠ざかることになり、私は私の体の確実性を失うことで「指先から透明になって」いるのかもしれません。「指先から透明になっ」た先に待つ未来というのは、私の体の全てが透明になるということであり、それでも、唯一この世界に残る私というのが「脳」なのでしょう。まるで、私という体が無くなって、脳だけが宙に浮かぶような映像が浮かび上がりました。それでも、「いつか、脳は宝石のように/美しいものへと変われたはずなのに」というのは、嘆きのように聞こえてくるもので、「変われたはずなのに」というのは、変われなかった時に述べられる嘆きです。つまり、私の体は私の体として維持されており、透明になることはない。この作品内において透明であるのは「ひかり」だけであり、その「ひかり」を「美しいもの」として感じさせてくれるのがまさに「宝石」なのです。それにしても、「脳」を「宝石」に置き換えるという発想はなかなか生まれないもので新鮮でした。そして、大きくは3つのパートに分けることができると思うのですが、少ない行で多くの映像を思わせることは、僕にはできないなと。何より、最初の2行がやはりくせになりますね。

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