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誘導道路
濡れ始めた森から鳴らされた音楽を 蚕の糸のように 身体に巻きつけながら眠る 伝言を残した紙は 製氷皿の中に沈められて 読まれる時を待つ 凍結までの気負いない道 穴の向こう側から逆さに手を振って、あるいは振り抜いたりして あなたの独歩を招いている ニ歩で消える一文字 カチッと照らした
誘導道路 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1477.4
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2020-12-08
コメント日時 2020-12-19
項目 | 全期間(2024/11/22現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
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技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
コートに身を包んで冬の夜空のもと佇んでる気分になりました。冬の質感や情感が、濡れ、蚕の糸、氷中の伝言などに現れてると思いました。 手前勝手な感想ですが八行目の、穴、というのがしっくりこず何度も読み返してます。しかし独り歩く道のりの雰囲気は伝わりました。 最後の行では感覚的に読むだけでなく、冷蔵庫の灯りの連想もできて楽しく読ませていただきました。
0丁寧に読んでくださってありがとうございます。穴、は、製氷皿に沈められた伝言≒紙が地上を見上げた時の視界をイメージしています。ともあれ、好きに読み取っていただければいいのです。
1僕にはこういうかちっとして、しゅっとした作品は書けないなあというのが一読しての感想。ただ、この作品における、かちっ・しゅっというのは、まるで林や髪を梳いて隙間をつくっているというよりかは、液体が個体になって密度を増しているように思えます。というのも、名詞が重たいのと一行一行の繋がりが不可欠となっていることからです。 一行目は、「音楽」という何でもない名詞を「濡れ始めた森から鳴らされた音楽」と説明しており、連体詞を繋ぎ合わせることで限定的になるはずが、実はその「音楽」の内実が読み手から離れていくような感覚があります。名詞を彩ることで、その名詞は色をまとい、限定的になるがゆえに、それが語り手の見ている世界というものを確固たるものにするゆえ、作品内世界が凝縮されて、読み手のいる世界とは別物であるということを思い知らされます。 「伝言を残した紙」もどういった伝言かは語り手のみぞ知っているわけですが、「製氷皿の中に沈められて/読まれる時を待つ」というこの二行が僕の興味を惹きつけました。何となくご存じかもしれませんが、最近ツェランの「投壜通信」について話し合うことがあったのですが、そのイメージと結びついてきます。ただ、製氷皿の氷が融ける、つまり、その氷を使う瞬間というのは、もしかしたら夏が来るまで待たないといけないとか、誰かから語り手に宛てられた伝言なのかとか、語り手から誰かに宛てられた伝言なのかとか、もし語り手から誰かに宛てられた伝言だったとしたらその方を部屋に招いて氷を用いた飲み物を提供しなければ伝言されないだとか、特にこの最後の想像が僕の勝手なフェチ想像になるのですが、伝言の紙をそのまま誰かに宛てるのではなくて、(伝言の紙が入った)氷が入った飲み物をもてなして初めて伝言される何かというのが、勝手なロマンチック想像です。でも、何を伝言するのかと。 「穴の向こう側~」の部分は、正直よくわからなくて、というのも、この「穴」は「穴」なんですよね。前段で散々「名詞」が彩られているとか述べたのですが、この「穴」はやっぱりただの「穴」で、どんな「穴」なのかが全くわからない。しかし、重要なのは、「穴」そのものがどう在るかではなくて、「穴の向こう側から」手を振っているというその動きに重きがあるのでしょう。そして、「あなたの独歩を招いて」おり、やはり、先ほどの想像というのは、何だかあてはまるような気もします。招くことで、氷にまぎれた伝言の紙を読ませることができそうですね。 でも、「二歩で消える一文字」を「カチッと照らした」と終わり、語り手が「カチッと照らした」のであれば、それは誰のために照らしたのかと言えば、語り手のためであるような気がします。少なくとも読み手には具体的に提示されていないので、語り手だけが知る情報として作品内に取り残されている。つまり、「伝言を残した紙は/製氷皿の中に沈められて/読まれる時を待つ」にこの作品のポイントがあると思っているのですが、この氷は少なくとも今時点では融けておらず、読み手がその伝言の紙を読むことができない。つまり、この作品自体が氷の中に取り残された「伝言の紙」になっていると言えるのでしょう。
2返信が遅れました。細かく読みといていただき感謝しています。 重たいということをあまり自覚はしていなかったので新鮮な気持ちで読んでいました。自分の中で凝り固まっていたものを、少しずつばらばらにして分かりやすくする要領で書いているつもりですが、出来上がった作品を見たときにまた凝固しているのかもしれませんね。 意味を持たせている名詞とそうでない名詞の差が大きいので、読み込んでくれている人ほど違和感をおぼえるのかもしれないです。「最後の想像」、いいですね。 >つまり、「伝言を残した紙は/製氷皿の中に沈められて/読まれる時を待つ」にこの作品のポイントがあると思っているのですが、この氷は少なくとも今時点では融けておらず、読み手がその伝言の紙を読むことができない。つまり、この作品自体が氷の中に取り残された「伝言の紙」になっていると言えるのでしょう。 おっしゃるとおりです。
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